研究課題/領域番号 |
18H01653
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本間 裕大 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40514055)
|
研究分担者 |
大口 敬 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90281245)
田中 健一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90408724)
渡部 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30435771)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 代替燃料車 / 支援インフラ / 交通政策 / 最適配置 / 物流 |
研究実績の概要 |
移動空間の平面的特性を考慮した上で,適切なる代替燃料社会への未来像へ誘導するための,合理的な代替燃料車の交通政策のあり方について数理的解析を試みている.本年度は研究計画に沿って,(I) 代替燃料車のユーザからの観点・(II) 支援インフラストラクチャーからの観点について更なる精緻化を進めつつ,かつ,(III)経済発展からの観点についても重点を置き,研究を推進した. (I・II) 代替燃料車のユーザ・支援インフラストラクチャーからの観点からの観点 前年度に構築した代替燃料車の移動モデルについて精緻化を行った.代替燃料車の航続距離限界は特に長距離トリップで影響が生じるため,広範囲を対象とした視座が必須である.そこで,大規模ネットワークでも求解できるよう,R.L. Church(2018)によって提案された「可能性の高い移動経路から入力」かつ「最適性が保証されない場合は候補を逐次する」手法と,提案モデルとの連結を行った.これによって,数十万ノード・リンクからなる大規模ネットワークでも分析が可能となった.また,ETCプローブデータのような車両の移動データから,ネットワークにおけるリンクコストを逆推定する数理分析手法の開発にも取り組んだ.いわゆる認知ネットワークが,代替燃料車ユーザでは異なることが想定され,今後プローブデータをクラス分けする際の有力なツールとなることが期待できる. (III) 経済発展からの観点 1都6県の広域関東圏を対象とした実分析へも展開した.具体的には優先的な支援インフラ整備が予想される「道の駅」ならびに「SA・PA」の施設配置計画を検討した.地元住民による地域需要や旅行者による広域需要,物流を司るトラックの等間隔な休憩需要など,多岐に渡る要因によって最適配置が大きく変化することを示した.以上のことは今後の展開において多目的最適化が重要な要素となることを示唆している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 本年度は,適切なる代替燃料社会への未来像へ誘導するための,合理的な代替燃料車の交通政策のあり方について,特に(I) 代替燃料車のユーザからの観点と,(II) 支援インフラストラクチャーからの観点から,研究を遂行した.これらの成果は,査読付き国際論文誌 IJHE(International Journal of Hydrogen Energy,Impact Factor: 4.229)に,筆頭著者として採択されている.また,情報発信ならびに研究者ネットワークの促進という意味でも,アメリカのオペレーションズ・リサーチ分野の全体会議であるINFORMS Annual Meetingで2セッションに渡るスポンサーセッションをオーガナイズし,香港の交通工学分野の全体会議であるHKSTS 2019でもセッションオーガナイザーを務めた.国内会議においても,土木計画学研究発表会や日本建築学会大会など,複数分野での成果発信に努めている.以上の研究推進は,年度当初に想定し得えた研究計画に沿って,順調に研究が展開されていることを裏付けるものである.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究遂行は,年度当初の計画を達成する順調なものであった.研究の最終年度となる2020年度も,研究計画に沿って,適切なる代替燃料社会への未来像へ誘導するための,合理的な代替燃料車の交通政策のあり方について数理的分析を行う.本年度に具体的な対象地域とデータを活用しながら推進した(III) 代替燃料社会における産業発展の観点から更に分析を進め,交通政策全般に対するより示唆に富む知見の獲得を目指す.得られた成果の学会報告・論文投稿も積極的に行う.
|