研究課題/領域番号 |
18H01664
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
五十嵐 一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90212737)
|
研究分担者 |
井門 康司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40221775)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 振動発電 / エネルギーハーベスティング / ハルバッハ配列 / デジタルアニーラ |
研究実績の概要 |
高度成長期に構築された橋梁や道路橋,トンネル,水道管など社会インフラの老朽化による事故が懸念されている.構造物内部の塩化物濃度や温度等をセンサーネットワークにより連続的にモニタリングできれば,安全性の飛躍的な向上が望める.特に,環境中からエネルギーを回し,測定データを無線送信する自律センサを用いれば,構造物の内部状態モニタリングが可能となる. 構造物の微小振動からエネルギーを回収する振動発電機として電磁誘導型があるが,小型化が難しく,微小振動下でのセンサ駆動も難しかった.本研究では,回転機等に使用されているハルバッハ配列を2次元アレー化し,その上にスマートフォン等に採用されている多層巻きコイルを高密度に配置することにより,小型化と高効率化が同時に達成し,0.1G以下の微小振動で無線センサを駆動する振動発電機を開発することを目的とする. 本年度は2次元化したハルバッハ磁石アレーの基本設計を行った.設計では,面状の永久磁石領域を微小なセルに分割し,磁石から離れた点での磁束密度が最大となるように,それぞれのセルの磁石配向を遺伝的アルゴリズムと,デジタルアニーラを用いた方法の2通りで決定した.その結果,6角形の配向分布を持つ新しい構造が得られた.従来の2次元ハルバッハ磁石では,磁石が存在しない無効領域があるが,本研究で得た構造はそのような無効領域が存在せず,空間を有効利用している.この新しい結果は2019年度に開催される国際会議COMPUMAGにて報告する予定である.また本年度は,エラストマー磁石を作成する上での実験的検討を進めた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最適化計算により,従来報告されていなかった6角形状の2次元ハルバッハ配列が得られた.また,このハルバッハ配列を面状にアレー化することにより,単一磁石よりも高い誘導起電力が得られることがわかった.さらに,ハルバッハ配列を実現するためのエラストマー磁石についても,実験的検討を進めることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度の検討で得られた2次元ハルバッハ配列をエラストマー磁石で構成する.また構成した磁石が発生する空間的な磁束密度分布をガウスメータにより計測する.計測した磁束密度分布が解析値と乖離している場合には,磁石内部の配向の検討など様々な要因分析を行う.また,2次元ハルバッハ配列の近傍に設置するコイルの設計も行う.さまざまなコイル配置・サイズに対する最適なハルバッハ配列についても検討する.
|