研究課題/領域番号 |
18H01670
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (60342507)
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研究分担者 |
池田 富士雄 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30353337)
酒井 一樹 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教 (40824298)
上村 健二 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (80708090)
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90321413)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 安全工学 / 小型船舶 / 事故 / 疲労 / ヒューマンエラー |
研究実績の概要 |
1)NIRSによる平衡感覚の評価:NIRS(近赤外線分光法)を用いて脳機能の面から平衡感覚の評価を試みた。具体的には、スチュワートプラットフォームを用いて被験者の座面に一定の傾斜角を与え、擬似的な平衡感覚の変化を与える。運動野を対象に、NIRSによって16チャンネル分のoxy-Hb濃度データを測定する。測定データを入力、座面傾斜角を出力とするニューラルネットワークを構成し、平衡感覚の推定を試みた。実験結果から,全体に良好な推定が得られることがわかった. 2)前庭電気刺激提示システムのユーザビリティ向上:前庭電気刺激による操船者に対する的確なフィードバックや不快感の少ない刺激電流の条件について調査し,前庭電気刺激を用いたシステムでは船体揺動と比べ,どの程度操作性が向上するのか操船シミュレータを用いて評価した.ISO9241-11に基づく評価指標を設定し,有効性,効率,満足度の観点から操作性を評価した結果,操作性が向上することが明らかとなった。 3)視覚刺激提示システムによる操作性向上:昨年度までの研究によって、被験者 に HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いて操船シミュレータの映像を提示し、没入感を向上させる他の映像刺激と併用することによってベクションを強化できることがわかった。今年度は操船実験によって、HMDを用いればベクション強度が高くなり操作性が向上することを明らかにした。 4)前庭電気刺激と視覚刺激の組み合わせによる加速度知覚強化:前庭電気刺激、視覚刺激それぞれでは提示加速度が不十分であることが課題として挙がったため、それぞれの刺激を同時に提示し、提示加速度の増強効果と知覚特性を評価した。特定の条件によって、提示加速度の増強が見受けられたものの、それぞれ単独で提示した時よりも提示加速度が低下する場合もあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、前庭電気刺激、視覚刺激等の各種VR(バーチャルリアリティ)を用いた操船支援システムの開発・改善が順調に進展している。それらVR効果を定量化するための新たな評価方法の検討が進み、特に、NIRS(near-infrared spectroscopy、近赤外線分光法)とニューラルネットワークを用いて脳機能の面から平衡感覚の評価・分析方法の検討に至った点は大きな進展である。また、VR手法を有効的に組み合わせて操船者に提示する方法について検討が始まったことから、現在までの達成度として「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
1.NIRSを用いた平衡感覚の定量的評価方法の改善 各種刺激強度の最適な組み合わせパターンを解析するために、昨年度、その基本的な有効性が確認されたNIRS(near-infrared spectroscopy、近赤外線分光法)による平衡感覚評価方法の改善を進める。NIRSを用いて測定した被験者運動野の脳活性度を16Chから32Ch分に増加させたOxyHb変化量の計測値から求め、平衡感覚の精度の良い定量化を試みる。 2.各種刺激提示を融合した操船支援情報仮想提示システムの開発と最適刺激パターンの検証 前庭電気刺激、体性感覚刺激や視覚刺激等の各種刺激を融合して提示する操船支援情報仮想提示システムを開発する。上述のように改善を進める平衡感覚評価方法を用いて、各種刺激をランダムに融合して被験者に提示し、その時々の平衡感覚を定量評価する。その際、ニューラルネットワークや機械学習等の学習アルゴリズムを用いて最適刺激パターンの存在を検討し、そのアルゴリズムの確立を目指す。
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