研究課題/領域番号 |
18H01678
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西野 智研 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00609894)
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研究分担者 |
鈴木 淳一 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (10453846)
関口 春子 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20357320)
川瀬 博 京都大学, 防災研究所, 特定教授 (30311856)
高木 洋平 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40435772)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 津波火災 / 津波避難ビル / 津波避難タワー / 地震火災 / レジリエンス / 機能維持 / 防火関連設備 / 南海トラフ地震 |
研究実績の概要 |
本研究は,南海トラフ地震が発生した際の津波により,石油コンビナート周辺での発生が予想される石油流出火災の拡大性状と津波避難ビルで生じる火災被害を数値的に明らかにすることを目的としている.2019年度は次の成果が得られた.(1)前年度に開発した津波起因の石油流出火災性状予測モデルを大規模な石油コンビナートを有する大阪港に適用した.東南海・南海地震を想定した津波シミュレーションとそれに基づいた石油流出火災シミュレーションを行い,①流出した石油が津波でどのように流されるのか,②石油に火が点いた場合に火災が海上をどのように拡大するのか,③燃焼領域から放射される輻射熱の影響がどこまで及ぶのかを評価した.また,火災により危険が及ぶ可能性のある津波避難ビルを明らかにし,必要な対応を提言した.(2)鉄骨造の津波避難タワーを対象に,地震力と津波波力による建築物の応答解析と火災加熱による応答解析を連成させることによって,津波後の火災を受ける津波避難タワーの構造安全性を評価する手法を開発した.開発した手法を津波避難タワーの設計例に適用し,津波避難タワーが津波火災に対し一定の耐火性能を有しており倒壊防止を達成できる可能性があることを明らかにした.(3)津波避難ビルなどの防災拠点における地震後の防火機能維持に着目し,2016年の熊本地震で被災した病院の被害調査データを用いて,防火関連設備の地震被害の実態や機器による脆弱性の違いを明らかにした.(4)超高齢社会を想定した津波避難ビルの火災被害予測のため,自力歩行が可能ではあるが肉体的衰えにより歩行速度の遅い者に着目し,被験者実験を通して低歩行能力者を含む群集の流動性状の一端を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に予定していた複数の課題を実施し,最終的な目標である南海トラフ地震の地震動・津波・石油流出火災・建物被害の統合シミュレーションの実現可能性を見出せていることから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,最終的な目標に向けて次の課題に取り組む.(1)南海トラフ地震の地震動・津波予測用統一断層モデルの開発を進める.地震動シミュレーションと津波シミュレーションを実施し,すべり量やすべり時間関数の与え方が地震動,津波および津波起因の石油流出火災に与える影響を確認する.(2)津波避難ビルなどの防災拠点における地震後の火災安全確保に着目し,防火関連設備や非構造部材などの地震被害を考慮した建築物の火災安全性能評価手法を開発する.
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