研究実績の概要 |
鹿児島県を除く九州6県(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県)を対象に、代表研究者が作成した区内観測所の雨量データベース(1895~1975年)と気象庁のアメダスデータベース(1976年以降)を統合した120年雨量データベースを基礎として、接続が可能であった観測地点について、再現期間(リターンピリオド)が100年、500年、1000年に一度の降水量の算出を行った。 地形図・旧版地図、空中写真、治水地形分類図、DEMデータに基づく精密標高図、洪水ハザードマップ、浸水想定区域図、地質図等を収集、整理、作成し、ArcGISを用いて統合化を行い、解析用の統合地図を作成した。 洪水ハザードマップに示された計画規模(再現確率で100年に一度)、想定最大規模(再現確率で1,000年に一度)の降水量が、近年発生した水害(2012年の白川水害、熊本市北区陣内地区、2016年の北川水害、延岡市北川地区、2017年の筑後川水害、朝倉・杷木地域)常襲地で降ったケースについて、現在のハザードマップの浸水想定区域にどの程度の水害が発生するのかを、災害発生時の現地調査により求めた実測値と比較して、詳細な解析を行った。 解析結果から、2017年の筑後川水害は1,000年に一度の再現期間を超える雨量に見舞われて浸水地域も広かった反面、2012年の白川水害は200年一度の再現期間であったことから、水害の規模は比較的小さかったことが明らかになった。 本研究の成果を3つの対象地域へ還元する計画であったが、新型コロナウイルス感染症が終息しないため、現地での成果発表会の開催を見送ることとなった。
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