水理模型実験による空石積み護岸の吸出し現象に着目した研究を実施してきたが、昨年度まで筆者らの研究によって、縮尺1/20の空石積み護岸水路における吸出し現象の様子を記述し、吸出し現象を低減するのに有効とされる裏込め材の粒径や充填幅を検討した。その結果として、土砂の吸出しは護岸下部から起こること、裏込め材を充填することで吸出し現象が軽減できること、またその程度は裏込め材の粒径が小さいほど、充填幅が大きいほど顕著ということが明らかになっている。本年度は凹形状について実験を行い、評価を実施した。 凹形状では、2種類の吸出しメカニズムが存在する凹部下流側から上流側に向かって圧力差による水の流れが護岸背後で形成される凸形状と逆のメカニズムと、凹部下流端護岸が凸形状として機能して吸い出されるメカニズムである。本研究の凹形状と凸形状を比較すると、凹形状に比べて凸形状の方が吸出しが起こりやすい形状と言える。空石積み護岸を施工する際は、護岸表面から突出した石にならないように施工することで吸出しを防止することができると考えられる。また、洪水後に護岸の積み石が流されて顕著な凹形状が露出していないかを確認、管理する必要がある。 また、研究最終年度であることから、これまでの研究を取りまとめ集落会議の書籍の執筆などを行なった。
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