研究課題/領域番号 |
18H01687
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
室崎 益輝 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (90026261)
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研究分担者 |
澤田 雅浩 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (00329343)
青田 良介 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (30598107)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 復興事例集 / 復興オンライン調査 / 国際復興研究ネットワーク / 復興研究会 / ラクイラ地震調査 |
研究実績の概要 |
(1)復興事例のデータベースの作成・・前年度に引き続き、災害の規模や特質、災害対応の状況、復興の経過、復興の成果、復興の教訓、資料と文献の項目について、ロマ・プリエタ地震、ラクイラ地震、カンタベリー地震、ネパール地震、北但馬地震、飯田大火、北海道南西沖地震、阪神・淡路大震災、糸魚川大火について、データベースを作成した。東日本大震災については、資料収集中である。 (2)現地調査の実施・・コロナ禍のため予定していたニュージーランド調査及び台湾調査は実施できなかった。現地調査については、日本の東日本大震災の野田村など15地区に変更して実施した。加えて、台湾の曁南大学、中国の四川大学、ネパールのコパ工科大学とオンラインあるいはメールで結び、921地震、四川地震、ネパール地震の復興の現時点での実情を明らかにした。 (3)復興研究会の開催・・前年度に引き続き、名古屋大学、関西学院大学、関西大学の協力研究者も含めて、復興研究会を開催した。そこで、仮設住宅建設をテーマに事例間の比較検討を行い、住宅再建プロセスのモデル化を行った。 (4)調査結果の公表・・前年度行った、四川地震、台湾921地震、ラクイラ地震などについて、「災害復興研究」や「建築とまちづくり」などの学術誌や専門誌に発表した。 (5)国際研究ネットワークの形成・・インドネシアのアチェ、中国の四川、台湾に加えて、アメリカのサンフランシスコ、ネパール、ニュージーランドの災害復興の研究者との研究交流のネットワークが整備できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)イタリアの2009年のラクイラ地震と2016年のイタリア中部地震の復興の調査が、コロナ禍で海外調査が困難となる直前に実施できたことで、長期疎開型の復興、歴史保存街区の復興のあるべき姿を明らかにすることができ、大きな成果につながった。ニュージーランド、トルコ、台湾などの調査ができなくなり、また海外から研究者を招いてのシンポジウムができなくなり、研究の軌道修正を余儀なくされた。 (2)復興の事例のデータベース化は、着々と進んではいるが、海外の事例については、オリジナルな資料が限定されており、収集できない状況にある。この研究で構築した「国際的な研究者のネットワーク」を通じて収集の努力をしているが、このネットワークによる収集は緒に就いたところで、出遅れてしまった。 (3)普遍的な教訓を見出すための復興研究会を定期的に実施し、教訓の体系化が進んでいる。ただ、対面形式で実施できず、充分な掘り下げができていない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)調査とデーターベース・・海外の事例については、文献調査とオンライン調査を基本に、事例収集と事例分析の不十分な部分を埋める努力をする。国内の事例については、東日本大震災に焦点をあて、約30地区の事例を精密に分析し、教訓化をはかる。 (2)国際シンポジウム・・最終年度であるのでオンライン参加も含めて海外の研究者を招いてのシンポを開催する。 (3)教訓の体系化・・欧米型とアジア型に大きく大別し、災害規模と地域特性と復興時間を分析軸に、教訓の体系化や普遍化をはかる。 (4)報告書の刊行とシンポジウムの開催・・研究調査の結果を、書籍と報告書にまとめ出版する。 (5)国際研究ネットワークの持続化・・この研究で構築された国際的な研究ネットワークの持続化を実現する。
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