研究課題/領域番号 |
18H01689
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
田中 智 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (30249932)
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研究分担者 |
村上 英記 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (10166259)
山田 哲哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10280554)
白石 浩章 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10353418)
後藤 健 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 防災 / 無人航空機 / ドローン / ペネトレータ / 火山ガス |
研究実績の概要 |
本研究課題の主目的は火山災害の軽減に貢献すべく観測研究を推進するために、火山噴火口から極力近接した場所に観測装置を設置し、継続的な観測を行うことを実証することである。このために、「ペネトレータ」と呼ばれる貫入型観測プローブを無人航空機で搬送し、目的地に投下設置するシステムを開発する。さらに開発したシステムを鹿児島県桜島噴火口付近に設置し継続的な火山ガス観測を行うことによって科学的データを取得する。 本研究は平成27-29年度で実施した基盤研究(A)「無人機を用いた落下貫入型火山観測プローブの開発および西之島新島での実証観測」(15H01793)での開発実績を踏まえ、火山火口付近で想定される軟弱な地質についても適切な深度で設置できるペネトレータを開発すること、および火口付近の観測で最も効果的な成果が期待される火山ガスセンサーを開発することが本年度の主たる目標である。 「ペネトレータの開発」については、通信回線の確保(アンテナの地上露出)、火山ガスの吸入口の確保のため、無人機からの投下によって秒速100m/s程度に達成する観測プローブが地中に全て埋設しない様な構造を検討した。検討の結果,徹甲弾形状の衝撃吸収材の採用を決定し、ペネトレータに装着するための設計を完了した。 「ガスセンサーの開発」については、市販品の衝撃試験で有意な感度変化が見られたため、その原因を究明した上で対策を施したセンサーの開発を行い、所定の衝撃で性能変化しないセンサーを開発した。 これらに加え、従来用いてきた両翼式の無人航空機だけでなく、ドローンを用いた投下システムを検討し、開発に着手した。これにより、投下試験が容易に実施可能となり、また、可視域で立ち入りができないフィールドにおいてはペネトレータを搬送し投下設置を可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ペネトレータの貫入時の深度緩和システム」については構造設計、およびペネトレータ機体に装着する設計を完了した。また、「火山ガスセンサー」については特に重要な硫化水素、二酸化硫黄センサーの開発を行い、所定の衝撃レベルを加える試験を実施し、性能変化がないことを確認した。もう一つの観測ガス成分である二酸化炭素ガスについては、市販品で耐衝撃性が期待されるものを選定し購入済みである。近日中に衝撃試験を予定している。新たに計画にとり入れたドローンについては設計を完了し、現在製作段階である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度上四半期、試験構体、およびセンサーの開発を完了した上でドローンを用いた投下貫入試験を実施する。この試験で今年度開発したシステムの開発の最終確認を行う。本研究の最終的なターゲットは鹿児島県桜島噴火口への投下、実証試験であるが、これに先立ち、鹿児島県諏訪之瀬島においてドローンを用いて噴火口付近への投下試験を行う(本年度下半期)。このために、火山ガスを計測し衛星通信を通してデータを転送するペネトレータを製造する。なお、このフィールドは平成27-29年度で実施した基盤研究(A)(15H01793)にて最終的に実証したフィールドであり、火口付近へ投下したペネトレータのみが不成功であった。今回新たに開発した投下システムおよび貫入深度緩和システムの有用性を実証することができる。
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