研究課題/領域番号 |
18H01700
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平松 秀典 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80598136)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁性体 / 超伝導 / 半導体 |
研究実績の概要 |
材料の機能開拓を電気的に可能にする「電界効果」をフル活用して、新奇機能を見いだす。1. 特徴的な層状の結晶構造を有する電子相関の強い「絶縁体」化合物に着目し、それらの高品質な極薄膜を作製する。※絶縁体=ギャップが開いているものすべてとする。 2. その極薄膜をin-situプロセスで電気二重層トランジスタ構造に加工し、一般的な固体ゲートより一桁以上高いキャリアドープを施すことによって、77 K越えの高温超伝導や室温強磁性などの新奇な機能発現を狙う。 3. ゲート印加下でのin-situ X線回折測定と第一原理計算を融合し、その新奇機能の起源に迫る。主立った成果としては、以下のような実績を得た。1. 絶縁体様FeSe薄膜における、その絶縁体的な電気特性の起源を電子構造の観点から明らかにすることに成功した。2. 準安定相であるFeSのエピタキシャル薄膜の安定化に成功し、それが狙い通りの絶縁体様な抵抗率の温度依存性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すべてが狙い通りの成果ではないが、関連設定テーマにおいてすべて今後の研究計画に対して有益な知見を得ることに成功している。以下が各研究項目で達成できた到達点である。 1. 絶縁体様のFeSe薄膜における最表面の大気暴露後に起こる化学変化を実験結果をもとに議論することに成功した。 2. 絶縁体様FeSe薄膜における、その絶縁体的な電気特性の起源を電子構造の観点から明らかにすることに成功した。 3. 準安定相であるFeSのエピタキシャル薄膜の安定化に成功し、それが狙い通りの絶縁体様な抵抗率の温度依存性を示すことを明らかにした。 4. 絶縁体であるSrHfS3を独自の化学設計指針から見いだし、p型&n型の両方の半導体特性と室温で明瞭なフォトルミネッセンスの観察に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に発見したいくつかの絶縁体様物質を基軸として、以下の課題について補角的に着手する。 1. 絶縁体様極薄膜をin-situプロセスで電気二重層トランジスタ構造に加工し、一般的な固体ゲートより一桁以上高いキャリアドープを施すことによって、77 K越えの高温超伝導や室温強磁性などの新奇な機能発現を狙う。 2. ゲート印加下でのin-situ X線回折測定と第一原理計算を融合し、その新奇機能の起源に迫る。
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