研究課題/領域番号 |
18H01701
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
舟窪 浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90219080)
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研究分担者 |
清水 荘雄 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60707587)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化ハフニウム / 強誘電性 / 特性支配因子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、不可能とされた薄膜化を行っても既存材料に匹敵する強誘電特性を発現し新規材料として有望な蛍石構造強誘電体について、強誘電性を支配する特性因子を明らかにすることである。研究代表者が世界に先駆けて作製に成功したエピタキシャル膜を用い、電界印加の前後、および電界印加下で行う独自の構造評価手法で結晶構造とドメイン構造にアプローチすることによって、従来の理論では説明できなかった蛍石構造強誘電体の特性発現機構の解明と新しい強誘電体理論の構築を目指す。本年度は以下の成果を得た。
1) 室温で作製した膜は、通常、常誘電相の単晶相であり、高温の熱処理によって正方晶に相転移し、その後の冷却過程で強誘電相の直方晶に相転移することを明らかにした。 2) Y-(Hf、Zr)O2まで組成を拡張し、Zr/Hf比が減少すると強誘電相が安定して得られるY含有量が減少することを見出した。また、Zr/Hf比が増加するとより低温の熱処理でも強誘電相が得られることを明らかにした。また、Zr/Hf比を増加させて作製した強誘電相の相転移温度は低下していくことを明らかにした。 3) Y置換HfO2では強誘電性が安定に存在することを用いて製膜条件を検討した結果、室温で強誘電相が作成可能な条件があることを明らかにした。この条件を用いると耐熱性の無い有機基材上や耐熱性のないガラス状に、透明な強誘電体膜が作成できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広い生成範囲で安定して強誘電性を出現することに成功した。また、キュリー温度の可変に成功するとともに、室温での合成にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られたサンプルに対する詳細な評価を行うとともに、さらに広い範囲の組成の膜について評価を行っていく。また、膜の歪の影響についても評価していく予定である。
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