研究課題/領域番号 |
18H01704
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
飯島 志行 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (70513745)
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研究分担者 |
丸尾 昭二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00314047)
多々見 純一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30303085)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セラミックス / 三次元造形 / スラリー / 表面設計 / 分散制御 |
研究実績の概要 |
本年度では、前年度までに構築した「各種粒子材質に対する応用性に優れ」、「スラリー中での粒子集積構造も制御可能」な、「樹脂使用量を極力低減」した新規な光・熱硬化性高粒子濃度スラリーを用い、鋳型中でのその場固化法やマイクロ光造形法等を駆使したセラミックス三次元複雑造形体の作成に取り組んだ。 原料粒子上に固定したPEI会合体と、アクリレート間のMichael付加反応を利用する新規な熱硬化性スラリー用いたその場固化法については、複数の原料微粒子を分散したスラリーを用いる必要があるSi3N4(助剤:Y2O3, Al2O3, TiO2, AlN)セラミックスの作製を対象として、前年度までに開発した熱硬化性スラリーが多成分系に展開できることを実証した。得られた多成分系熱硬化スラリーを用いて、市販のシリコーン鋳型中でその場固化成形を施すことにより、複雑形状を有するSi3N4セラミックス成形体が得られることを明らかにした。また、造形されたSi3N4セラミックスを緻密化するための脱脂・焼結プロファイルを検討し、バルク体と匹敵する強度をもつ複雑形状Si3N4セラミックスの作製に成功した。 また、前年度に構築した光硬化スラリーについては、SiO2微粒子をモデル材料とし、微粒子との屈折率を合わせたTHF/α-テルピネオール混合溶媒からなる光硬化性透明スラリーを設計した。得られた光硬化性透明SiO2スラリーは、「青色半導体レーザーを用いた1光子吸収による光重合反応の非線形性を利用したマイクロ三次元造形技術」を活用することで、マイクロスケールな構造を有する三次元構造体を造形できることを明らかにした。また、得られたSiO2光硬化体は、従来手法と比較して高速な脱脂操作を施すことが可能であり、透明体として焼結させることも可能であることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に計画していた、新規な熱硬化性スラリーの多成分系化、その場固化法による焼結助剤を含むSi3N4セラミックスの複雑形状成形体の作製、バルク体と匹敵する強度をもつ複雑形状Si3N4セラミックス緻密体の作製、透明光硬化性透明SiO2スラリーを用いた青色半導体レーザーによるSiO2の三次元造形、三次元SiO2造形体の高速脱脂と透明緻密化を達成しており、本研究は当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
複数の原料微粒子を分散したスラリーを用いるSi3N4(助剤:Y2O3, Al2O3, TiO2, AlN)セラミックスの製造プロセスを対象として、前年度までに構築した多成分系熱硬化性高粒子濃度スラリーの設計技術を活用しながら、三次元光造形法で作製した高精細複雑形状鋳型を用いたその場固化法による微細構造体の成形法を構築する。さらに、今年度までに明らかにしたSi3N4セラミックスのその場固化成形体の焼成プロファイルをもとに、緻密な高精細複雑形状Si3N4セラミックスの作製手法を検討する。 また、今年度までに「青色半導体レーザーを用いた1光吸収による光重合反応の非線形性を利用したマイクロ三次元造形法」への適用可能性を実証した光硬化性透明SiO2スラリーの設計概念について、Al2O3をはじめとした他の材質に拡張できることを示す。さらに、「フェムト秒パルスレーザーを用いた2光子造形法」との融合により加工分解能が数10 マイクロメートルオーダーのセラミックス複雑形状体の直接造形に挑戦する。
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