研究課題/領域番号 |
18H01709
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
犬丸 啓 広島大学, 工学研究科, 教授 (80270891)
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研究分担者 |
片桐 清文 広島大学, 工学研究科, 准教授 (30432248)
田中 将嗣 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (90597650)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 界面 / エピタキシー / 磁性 / 光触媒 / 人工光合成 / 二酸化炭素 / CCS / 二酸化炭素吸着剤 |
研究実績の概要 |
本研究では,無機物質をベースに,ナノレベルや原子・分子レベルの複合構造などに特定の結晶面や接合界面を作り込み,その界面・結晶面を主役として発現する機能の学理を探求する.複合的なナノ構造をもつ材料は,分子レベル→ナノレベル→それ以上のスケールへ構造を積み上げた階層構造をもつ.申請者らは,系を特徴づける階層同士が機能面で絡み合い発現する機能を「階層機能」と定義し焦点をあて,H28年度まで基盤研究(B)で研究を展開した.階層機能では,異なる階層同士が,その接合界面を介して,分子やイオンのような化学種,機械的力,電子や電荷をやり取りし,機能面で協奏し機能を発揮する.本研究 では,このコンセプトをさらに発展させ,より一般化した「無機ナノ複合構造の界面機能化学の開拓」を目指す.面を介してやり取りするものとして,今回,電子や正孔,イオンや分子,界面での機械的な力などを想定する. 本年度の主たる成果として,CrNエピタキシャル薄膜の反強磁性転移温度に与える基板の効果について,過去のテータと現在の実験結果を統一的に解釈することを試みた。その結果,転移温度を制御する因子として,基板界面の応力とは異なる制御因子があることが示唆された。これをもとに次年度以降さらに研究の展開を図る。新しいCO2吸着剤を目指した層状複水酸化物(LDH)の研究においては,結晶性の高いMg-Al LDHを合成しその熱分解挙動を調べた結果,その構造変化について従来明確に捉えられていなかった原子・分子レベルでの描像を得ることができた。光触媒系においては,メソポーラス空間に補足された有機分子の特異な分解特性や人工光合成系における金属間化合物助触媒の役割についての知見の深化を図ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
無機複合構造における界面が主役となる機能化学の展開という観点において, (1)エピタキシャル薄膜の磁性転移に与える基板の効果における新しい現象への端緒 (2)層状複水酸化物結晶の加熱に伴う構造変化における原子・分子レベルでの理解の深化 (3)光触媒系におけるナノ構造の効果の明確化および新規助触媒への展開 の3点で予想以上の進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き継続的進展を得るべく研究の進展を図る。特に,新現象の端緒にかかわる展開としては,明確な証拠を慎重に揃える方向で検討を進める。
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