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2020 年度 実績報告書

サブミクロン厚の超薄膜ガラスラミネートシールの開発と生体応用

研究課題

研究課題/領域番号 18H01720
研究機関東京工業大学

研究代表者

岸 哲生  東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90453828)

研究分担者 矢野 哲司  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90221647)
松下 伸広  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90229469)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードガラス / 表面 / 接合 / 生体活性
研究実績の概要

当該年度では、前年度で得られた結果をもとに、ガラス超薄膜の組成がTi基板との室温接合に及ぼす影響を調査した。45S5ガラスをもとにNa2O-CaO-SiO2系ガラスについてCaO/Na2O比やSiO2量を変化させて、Obreimoff-Metsik法により接着エネルギーを評価した。また、ガラス超薄膜をTi基板から剥離した表面のXPS測定を実施し、界面における組成比や化学状態を調査した。作製したガラス超薄膜はいずれもごく微量の水を介して室温でTi基板に接着された。CaO/Na2O比が1を超える組成では接着直後の接着エネルギーが数百mJ/m2であり、9時間が経過してもほぼ同じ接着エネルギーとなった。一方、CaO/Na2O比が1以下の組成では接着エネルギーは時間経過とともに増加し、接着強度の増加速度と最終的に得られる接着エネルギーは、CaO/Na2O比が大きいほど高くなった。XPS測定より接着前のガラス超薄膜の最表面には、CaO/Na2O<1の時Naリッチ層が形成されていることがわかった。また、剥離後のTi基板表面はCaO/Na2O比が大きいほどガラス成分の検出量が減少し、Tiのケミカルシフト量も小さかった。以上より、CaO/Na2O比が1より小さい組成でガラス超薄膜表面にNaリッチ層が形成され、Naリッチ層から溶出したNaにより界面pHが上昇し、Ti基板およびガラス超薄膜表面が腐食され、ガラス超薄膜とTi基板との界面に中間層が形成される。実際にこの中間層を断面TEM観察により確認した。したがって、Na2O-CaO-SiO2系ガラスにおいては、CaO/Na2O比を通して界面pHを制御することにより、ガラス超薄膜とTi基板の接合強度を制御できることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ガラス超薄膜の接合強度の組成依存性の調査などは概ね順調に進んだが、当初考えていたガラス超薄膜の作製方法や引張試験などを実施できていない。

今後の研究の推進方策

大面積かつ平坦なガラス超薄膜の新規作製方法に向けた装置の設計・構築を実施する。また、P2O5添加により接着エネルギーが向上することが示唆されているため、Na2O-CaO-SiO2-P2O5系についてガラス超薄膜とTi基板との接着エネルギーの組成依存性を調査する。高い接合強度を有する生体活性ガラス多層膜(全膜厚が10マイクロメートル以上)を作製し、生体活性を持つことを実証する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Room‐temperature bonding method of bioactive ultrathin glass film on titanium by a dissolution‐polymerization reaction2020

    • 著者名/発表者名
      Liu Yin、Kishi Tetsuo、Jeng Ray‐Jay、Matsushita Nobuhiro、Yano Tetsuji
    • 雑誌名

      Journal of the American Ceramic Society

      巻: 104 ページ: 218~228

    • DOI

      10.1111/jace.17455

    • 査読あり
  • [学会発表] 生体活性ガラス超薄膜の室温接合による積層構造の形成2021

    • 著者名/発表者名
      劉 銀, 岸 哲生, 炭 喜達, 松村 大樹, 松下 伸広, 矢野 哲司
    • 学会等名
      日本セラミックス協会2021年年会
  • [学会発表] テルライトガラス超薄膜の作製と室温直接接合2021

    • 著者名/発表者名
      岸哲生, 鄭瑞杰, 廣田翔, 松下伸広, 矢野哲司
    • 学会等名
      The 31st Meeting on Glasses for Photonics
  • [学会発表] 生体活性シリケートガラス超薄膜のチタン基板との室温接合2020

    • 著者名/発表者名
      岸 哲生, 劉 銀, 松下 伸広, 矢野 哲司
    • 学会等名
      第33回日本セラミックス協会秋季シンポジウム

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公開日: 2022-12-28  

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