荷電コロイド分散系において、粒径、粒子濃度、塩濃度を実験パラメータとして、結晶、アモルファス、ランダム状態を連続的、系統的に作製することができた。具体的には、粒径、粒子濃度、塩濃度を変えた単分散ポリスチレン粒子の水分散液を作製し、これらを平板状キャピラリーセル内に充填し、反射スペクトル測定を行うことによりコロイド結晶化臨界濃度を決定した。これにより、各粒径における粒子濃度vs.塩濃度の結晶化相図が作成でき、結晶相、非結晶相形成条件を明らかにすることができた。各条件の試料について、角度依存反射および透過スペクトル測定や、目視および写真撮影を行った。その結果、荷電コロイド分散系においても角度依存性がなく均一な色彩を示す試料が得られる条件があることがわかった。 次に、外部刺激により色彩変化するセンサー材料の作製を試みた。コロイドアモルファスとなる条件のポリスチレンコロイド水分散液に、ゲル化剤を溶解させ、平板状キャピラリーセル内に充填し、紫外線照射による光重合を行った。その後、アクリレート系紫外線硬化樹脂を用いて粒子配列の樹脂固定化を試みた。アクリレート系樹脂を用いることで樹脂フィルム化することに成功したが、スペクトル特性の劣化がみられた。紫外線照射条件や開始剤濃度などの樹脂化の細かな条件を検討することにより、スペクトル特性を維持した樹脂フィルムが得られる可能性があり、来年度の研究に向けた方向性が示された。
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