研究実績の概要 |
当該研究では、ジェットエンジンや発電プラント用ガスタービンの高温化と製造性を両立する新たなAlフリー高強度Ni基耐熱鍛造合金の創成を目指し、熱的に安定なNi3M金属間化合物相(η-Ni3Ti(六方晶系)およびδ-Ni3(Nb, Mo)(斜方晶系))のγ-Ni(fcc)固溶体相との格子ミスフィット制御とそれによる析出制御基盤技術を構築する。 当該年度では、η/γ2相間の格子ミスフィット制御が可能と考えられるNi-Cr-Mo-Ti系において①η/γ2相間の広い組成範囲における相平衡、②同2相間の格子ミスフィットの組成依存性を評価した。 ①η/γ2相間の広い組成範囲における相平衡の評価では、複合拡散対法を用いてNi-Cr-Ti-Mo 4元系の900℃における相平衡を実験的に調べ、(1)η相と2相平衡するγ相は,Cr濃度に依存せず最大で約9 at.%のMoを固溶するが,最大量のMoを含むγ相中のTi濃度はCr濃度の増加に伴い約6 at.%から3 at.%に低下すること、(2)Mo及びCr はη相に対してγ相により多く分配すること等を明らかにした。 ②同2相間の格子ミスフィットの組成依存性を評価では、(1)γ/η相間の格子ミスフィットはTiのMoによる置換に伴い減少し,最密方向の値は約0.9%から0.5 %まで,最密面間隔方向の値は約0.7%から0.3%まで減少すること、(2)同格子ミスフィットはCr濃度及び温度の増加により単調に減少することを室温におけるX線回折および熱膨張測定により見出した。
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