• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

格子欠陥によるフォノン散乱の波長依存性測定と部分還元ルチル熱電材料の高性能化

研究課題

研究課題/領域番号 18H01737
研究機関神戸大学

研究代表者

田中 克志  神戸大学, 工学研究科, 教授 (30236575)

研究分担者 寺本 武司  神戸大学, 工学研究科, 助教 (10781833)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード酸素欠陥ルチル / 熱電特性 / 不純物元素 / 価数
研究実績の概要

酸素欠損に伴う面欠陥を導入することで熱伝導率を低下させた結晶について,短波長のフォノン散乱を増強するため,散乱源としての不純物元素の添加を試み,その結晶内での存在状態を明らかにした.以前より用いている4価の不純物元素としてのZrに加え,同じく4価のSn,面欠陥量を増大させる効果が知られている3価の不純物元素のCrやAlについて結晶内における分布状態,および,固溶状態における元素の価数についてTEM-EELS法を用いた分析を行った.
SnとAlは酸素欠損ルチルにはほとんど固溶しないことが明らかとなった.ZrとCrについては十分な量の固溶量があるとともにいずれの元素も面欠陥に偏析・逆偏析することなく,結晶内に一様に固溶し分布することが明らかとなった.また,不純物元素の添加された酸素欠損ルチルにおいてもTiの価数はほぼ面欠陥量で決まる価数でおおよそ一様分布していることが明らかとなり,不純物の特殊な効果は認められなかった.また,この分析により酸素欠陥ルチルにおける伝導電子が結晶全体に広がっており,電気伝導は結晶中を三次元的に流れるバルク伝導であることが示された.
一般に不純物元素の添加は結晶の熱伝導率を大きく低下させるが,酸素欠損ルチルにおいては不純物元素が添加されても熱伝導率はわずかに減少するのみであり,電気抵抗率の増加の方が大きいことが明らかとなった.結果として,不純物元素添加に伴い熱電変換効率は低下してしまい,有効な添加元素を見出すには至らなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は長波長フォノン散乱についての測定も計画していたが,測定系の不調により十分な実験結果を得ることができていない.これについては研究協力者の尽力により改善が見られるようになったことから,次年度の早い段階で測定し,遅れを取り戻したいと考えている.

今後の研究の推進方策

調整によっておおよそ必要な測定精度が得られるようになってきた光音響法によるフォノン測定設備を用いることで,熱伝導に寄与する長波長フォノンフォノンに対する散乱特性を測定し,フォノンの散乱強度の波長依存性の測定を完成させ,本研究の目的を達成させる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Distribution of Alloying Quadrivalent Zirconium in TiO<sub>2?</sub><i><sub>x</sub></i> Magn?li Phase2019

    • 著者名/発表者名
      Teramoto Takeshi、Takai Yutaka、Hashiguchi Hiroki、Okunishi Eiji、Tanaka Katsushi
    • 雑誌名

      MATERIALS TRANSACTIONS

      巻: 60 ページ: 2199~2203

    • DOI

      10.2320/matertrans.MT-M2019155

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi