本研究では、アルカリ水電解用酸素発生触媒として知られるコバルト酸化物を対象に、酸化物触媒の結晶格子に加わるひずみが触媒活性におよぼす影響を調査した。アークプラズマ蒸着法によりPtやIrの単結晶基板上にコバルト酸化物のナノ薄膜を形成し、そのミクロ構造と電気化学的酸素発生触媒能を評価した。ナノ薄膜の触媒特性および構造安定性は堆積金属基板種に大きく依存し、Ir基板上で特に高い特性を示した。また、酸性酸素発生触媒として知られるイリジウム酸化物への異方歪みの導入により高活性化にも成功した。これらの結果は基板と触媒層の格子ミスマッチに起因した格子歪みが触媒特性に影響することを示唆している。
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