研究課題/領域番号 |
18H01742
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
及川 勝成 東北大学, 工学研究科, 教授 (70356608)
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研究分担者 |
上島 伸文 東北大学, 工学研究科, 助教 (10733131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミクロ組織制御 / 鍛造 / Co基超合金 |
研究実績の概要 |
Co-Al-W系超合金のがgamma母相中gamma'整合析出物の成長挙動を実験的に検討した.Co-9Al-10W合金を高周波溶解で作製した.作製した合金の溶体化温度をDSCで確認したところ,1020℃であったため,1300℃で溶体化をおこなった.溶体化した試料を900-1000℃の間で様々な時間熱処理を行った.その結果,1000℃では球状に近い形状のgamma'相が,温度の低下とともに,角状に変化することが明らかとなり,格子ミスフィットの温度依存性が大きいことが明らかとなった.また,gamma'のサイズは,1000℃で150時間熱処理しても,およそ200nmであり,その成長速度が非常に遅いことがあきらかとなった. Ni基超合金では,gamma'の成長挙動が界面拡散律則と体拡散律則の両方が見いだされている.本合金のgamma'の成長挙動の時間依存性をみると,析出物径は時間の1/3乗に比例していた.このことは,gamma'の成長挙動が界面拡散律則でなく,体拡散律則でオストワルト成長していることを意味している.一方,粒子分散関数は,高温ではLSW(Lifshitz-Slyozov-Wagner)理論と一致していたが,低温ではLSW理論からずれており,格子ミスフィットの影響が大きくでていると考えられた. LSW理論から活性化エネルギーを求めたところ,410kJ/molでCo中の体拡散の活性化エネルギーに近い値が得られた.また,界面エネルギーは0.1N/m程度であり,典型的な整合界面の界面エネルギーの値であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はCo基超合金中でのgamma'相の析出状態制御することで,その熱間加工性の制御を行うことを目標としている.本年度の成果により,gamma'相のサイズと形状制御ができるようになった.次年度以降,これらの条件をもとに熱間加工と冷却速度を変化させることで,整合界面の非整合化と流動応力の低下について検討できるようになる.
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今後の研究の推進方策 |
Co基超合金中に整合析出するgamma'相のサイズ,形態を制御し,それらが流動応力および再結晶挙動に及ぼす影響を明らかにする.そのため,様々な時間と温度で熱処理した試料に対して,温度と歪み速度を変えた圧縮試験を行う.得られた圧縮試験片の組織をSEM-EBSDやTEMで評価することで,再結晶化メカニズムなどを評価する.また,数式モデルを用いて,再結晶率などを定量的に評価し,gamma'相の非整合化に必要なパラメータを明確にする.
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