研究課題/領域番号 |
18H01748
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
福本 昌宏 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80173368)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 溶射 / 溶射粒子 / 粒子偏平 / 動的ぬれ / 遷移温度 / 熱伝導 / 界面熱伝達 |
研究実績の概要 |
実施を予定した下記二項目で得た研究成果を要約する.実験①:系内均熱,凝固なしの静的ぬれ系として水,エタノール液滴/PTFE,ガラス基材でのぬれ特性とK値との照合によりSplash発生をもたらす臨界Kc値に対する静的ぬれの影響を調査した.その結果,両基材間の液滴接触角が大きく異なったのに対し,基材上でSplashが発生する臨界Kc値は両基材間で相違がなかったことから,凝固を伴わないぬれにおいては静的ぬれ性は液滴の飛散抑制効果持たないこと,従って溶射粒子偏平挙動の遷移的変化はぬれ単独で引き起こされるのではなく,ぬれ性の改善に伴う副次的要因によると示唆される等の諸点を明らかにした.実験②:上記に対する凝固あり系としてSn粒子/A6063,SUS,ガラス基材での遷移温度と熱伝導率との関係性の比較により,動的ぬれに対する基材熱伝導および粒子内凝固の影響について調査した.その結果,遷移温度は基材熱伝導率が低いほど指数関数的に高くなる傾向が認められたことから,粒子/基材間の熱伝達能が溶射粒子偏平挙動を強く支配する可能性を明らかにした.以上の結果から基材加熱に伴う溶射粒子偏平挙動の遷移的変化は,粒子/基材間のぬれ性の改善に起因する界面熱伝達性の向上により粒子内冷却・凝固速度あるいは粘性の急激な増大に基づくものと考察された.なお,当初予定した雰囲気圧力の変化に伴う金属液滴のぬれ特性変化実験③は,当該装置の不具合により実施できなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した雰囲気圧力の変化に伴う金属液滴のぬれ特性変化実験③が,当該装置の不具合により実施できなかったが,これ以外に実施を予定した実験①:系内均熱,凝固なしの静的ぬれ系として水,エタノール液滴/PTFE,ガラス基材でのぬれ特性とK値との照合によりSplash発生をもたらす臨界Kc値に対する静的ぬれの影響調査,および実験②:上記に対する凝固あり系としてSn粒子/A6063,SUS,ガラス基材での遷移温度と熱伝導率との関係性の比較により,動的ぬれに対する基材熱伝導および粒子内凝固の影響調査を着実に実施し,所望の成果をあげていることから.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度未実施の,雰囲気圧力の変化に伴う各種溶射粒子のSUS基材に対するぬれ特性変化と遷移圧力との関係性調査により,遷移圧力を誘起する動的ぬれの影響を考察する実験③を継続実施する.また,当初より予定の,Cu溶射粒子の各種基材上での偏平挙動の相違性調査により,遷移圧力を誘起する基材熱伝導,粒子内凝固の影響調査を行う実験④,Ni-Cr2元系合金の遷移温度調査による粒子表面エネルギーの動的ぬれ性に対する影響性に関する調査実験⑤を実施する.
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