研究課題/領域番号 |
18H01749
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
森 謙一郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80127167)
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研究分担者 |
安部 洋平 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60402658)
前野 智美 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80505397)
中川 佑貴 東京工業大学, 工学院, 助教 (50837739)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホットスタンピング / テーラード / 冷却履歴制御 |
研究実績の概要 |
加熱した焼入れ鋼板を金型で急冷して超高強度鋼自動車部材を生産するホットスタンピングにおいて,冷却履歴を部分的に制御して,高強度部と高延性部を両立させたテーラード部材の高生産性方法を開発し,衝突安全性を向上することを目的としている.ホットスタンピングにおいて,マルテンサイト変態させた高強度部とフェライト変態させた高延性部を両立させる冷却履歴を創出し,高強度部ではフェライト変態を避けて最終的にはマルテンサイト変態,高延性部は短時間でフェライト変態をそれぞれ確保した. 創出された冷却履歴をホットスタンピングにおいて実現するために,前年度では高強度部だけを前工程で部分パンチによって成形・急冷する部分成形法を考案した.本年度では,成形前に部分的に保温を行うテーラードホットスタンピング法を開発して,金型の設計・製作を行い,予備ホットスタンピング実験を行い,基礎的なデータを収集して機械的特性に及ぼす影響を調べた.高強度部を断熱材ではさむだけであり,工程が単純になった. ホットスタンピングにおいて,部材角部を増肉して高強度な部材を製造する方法を開発した.鋼板の両端を拘束して成形を行い,部材角部を増肉し,同時にオースフォーミングによって,増肉した角部のマルテンサイト組織を微細化して強度を一層向上させた.ハット曲げ成形を行い,成形品の硬さ,肉厚分布,微視的組織を測定した,さらに成形部材を曲げ試験して,剛性,強度が向上していることを確かめた. テーラード部材の機械的特性の分布を穴抜き試験から推定する方法を開発した.穴抜き加工における加工荷重から引張強さ,せん断面比率から全伸びを求めた. パッチワークテーラード部材のホットスタンピングにおいて,母板およびパッチを溶接しないで加熱し,金型内で重ねて成形することによって接合する方法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーラードホットスタンピングにおいて,成形前に部分的に保温を行うことによって,部分パンチによる前工程が省略でき,成形品の高強度部で470HV程度,高延性部で240HV程度のテーラード部材を成形できた. ハット曲げ成形において鋼板の両端を拘束して角部を増肉させるとともに,オースフォーミングによって硬さを増加させることによって,成形部材の曲げ試験における荷重を40%程度増加できた. テーラード部材の引張強さおよび伸びが穴抜き試験から容易に推定できるようになった.パッチワークテーラード部材を溶接しないで加熱できるようになり,表面の金属間化合物が均一に生成されるようになった.
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今後の研究の推進方策 |
部分成形,部分冷却,部分保温テーラードホットスタンピング法において,各成形法を比較してそれぞれの方法の特性を明らかにする. 部材角部を増肉させるホットスタンピングにおいて,この硬さ増加のメカニズム明らかにする. テーラード部材の機械的特性の分布を穴抜き試験から推定する方法を各種の鋼板に適用して応用範囲を調べる. パッチワークテーラード部材のホットスタンピングにおいてインターロックを形成して仮接合し,成形後レーザー溶接によって本接合を行う. 安価な非めっき鋼板のホットスタンピングにおいて発生する表面酸化層を,希薄りん酸と超音波洗浄によって除去し,りん酸濃度,振動周波数などの条件を変化させて除去特性を求める.
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