研究課題/領域番号 |
18H01752
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土谷 博昭 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50432513)
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研究分担者 |
藤本 愼司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70199371)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アノード酸化 / チタニア / ナノチューブ / 貴金属 / ナノ粒子 / 自己組織化 / チタン合金 / 薄膜 |
研究実績の概要 |
2018年度は純チタン基板上に、白金、金を単独もしくは共添加したチタン合金薄膜をマグネトロンスパッタリングを用いて作製し、その組成、構成相および形態の調査を行うとともにフッ化物および水を添加したエチレングリコール中でのアノード酸化挙動と被膜形態を検討した。作製した合金薄膜はいずれも添加した貴金属元素はほぼ均一に固溶し、XRDからも析出物相は検出されなかった。また形成した薄膜の形態は貴金属合金を単独添加した場合には概ね柱状の構造であったが、共添加した場合には柱状構造とは異なる構造の薄膜が得られた。アノード酸化中に発生した電流は貴金属元素を単独添加したチタン合金薄膜では定電圧保持中にはアノード酸化によるナノポーラス状酸化被膜もしくはナノチューブ状酸化被膜に典型的な挙動を示したが、共添加したチタン合金ではアノード酸化中の電流挙動はナノチューブ状皮膜に典型的な挙動とは異なることが分かった。アノード酸化後の被膜形態をSEMを用いて調査すると、貴金属単独添加チタン合金にはナノチューブ状構造が確認できたが、共添加チタン合金では指向性のない細孔からなるスポンジ状構造が得られた。しかしながらナノチューブ構造が得られた単独添加合金においても、上述した薄膜の形態を反映した被膜となっておりスパッタリング薄膜の形態を改善する必要があることが明らかとなった。 一方、このようにアノード酸化には形態を含めた基板性状が影響しうることから、アノード酸化に及ぼす基板熱処理の影響を調査した。その結果、高温で熱処理したチタン基板を陽極酸化すると、熱処理していないチタン基板と比較して、より厚いチタニアナノチューブ被膜が形成するとともに、ナノチューブ配列の規則性の向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
貴金属元素を添加したチタン合金薄膜を作製し、その薄膜性状を調査するとともにその薄膜のアノード酸化挙動と被膜形態を検討し、貴金属元素共添加チタン合金に関しては条件の最適化には至らなかったが、貴金属元素含有チタン合金のアノード酸化に関する基礎的な知見を得るだけでなく、基板熱処理による影響についても調査し、配列の規則性や膜厚の増加という新しい知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように2018年度の検討から、陽極酸化による酸化皮膜の生成および成長には基板性状の影響を受けることが明らかとなった。そこで2019年度はマグネトロンスパッタリング装置に基板加熱ユニットを設置し、成膜中に基板加熱することによりスパッタ膜の性状を変化させ、陽極酸化チタニアナノチューブ層の生成・成長に及ぼす影響さらに貴金属元素の影響を系統的に調査する。さらにチタニアナノチューブ生成・成長に及ぼす基板の影響を系統的に調査しスパッタリング膜設計指針とするため、高温で熱処理したチタン基板の陽極酸化挙動と形成するナノチューブ層の形態も併せて調査する。
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