研究課題/領域番号 |
18H01764
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 泰洋 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50621033)
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研究分担者 |
城田 農 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40423537)
松下 洋介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80431534)
青木 秀之 東北大学, 工学研究科, 教授 (40241533)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 噴霧塗装 |
研究実績の概要 |
液体の微粒化現象および付着現象に着目し,実験および数値解析による移動現象の解明を試みた.本年度では,研究実施計画に基づき,「既存シミュレーション手法の高度化」,「非ニュートン流体の液滴衝突における経時変化観察」および「液柱分裂時の不安定構造の可視化」に関する研究を実施した. 「既存シミュレーション手法の高度化」においては,in-houseコードによる数値解析を実施し,行列ソルバーの検討や過去の数値計算の再現を行った.これまでの解析で実績のあった行列ソルバーを利用した解析の実績を積み上げ,その有効性を確認した.また,過去の数値計算の再現を行う際には,側方から導入された気流による下方から伸長した液柱の変形の様子を解析するとともに,解析領域を長手方向に拡大した場合の解析を実施し,その結果,長手方向に液柱がそのまま伸長する現象が続くことを定性的に確認した.また,液体の非ニュートン性を考慮した解析を実施するために1次元の数値計算を行い,ニュートン流体の場合と非ニュートン流体の場合を比較し,円管内流れの速度分布が異なることを確認した.「非ニュートン流体の液滴衝突における経時変化観察」においては,現有のニュートン流体とShear-thinning性を持つ非ニュートン流体を用いてミリメートルスケールの液滴を固体壁に衝突させ,観察を行った.衝突後の液体の拡がり方には非ニュートン性の影響がほとんどないものの,液体が拡がった後の収縮時において非ニュートン性の影響があることを示した.「液柱分裂時の不安定構造の可視化」に関しては実験環境整備を行い,購入したレーザードップラー流速計を用いてトレーサー粒子として液滴の速度を計測できることを確認し,測定系の環境整備を重点的に行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「既存シミュレーション手法の高度化」に関して行列ソルバーとしてAMGSおよびAGMGを過去に利用し,どちらの手法も有効であることを確認していたが,今回はAGMGを用いた解析を数多く実施し,妥当な結果が得られたことからAGMGの有効性を確認した.また,下方から液柱を伸長させたときに側方から気流があたることにより液柱が変形する系を対象とした数値解析を実施し,解析領域を長手方向に拡大したときに液柱がそのまま伸長することを定性的に確認した.さらに,1次元の数値計算においてニュートン流体および非ニュートン流体を用いた円管内の流れを対象とした解析を行い,その差異について確認した.「非ニュートン流体の液滴衝突における経時変化観察」に関しては現有のニュートン流体とShear-thinning性を持つ非ニュートン流体を用いてミリメートルスケールの液滴を固体壁に衝突させ,観察を行った.作動流体によって観察結果が異なる状況があることを確認した.「液柱分裂時の不安定構造の可視化」においては九州工業大学において実験基盤を整備した.
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今後の研究の推進方策 |
「既存シミュレーション手法の高度化」においては,これまでin-houseコードに新たに非ニュートン流体モデルとして指数則モデルを導入し,1次元における数値解および既往の解析解と比較し,その妥当性を確認したうえでin-houseコードの高度化を実施する.「非ニュートン流体の液滴衝突における経時変化観察」および「液柱分裂時の不安定構造の可視化」においては共通の試料を選定し,非ニュートン流体を対象とした実験を実施する.特に「液柱分裂時の不安定構造の可視化」においては前年度において測定系の利用基盤を整備したため,今年度は実験系の確立と可視化を実施する.
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