研究課題
低炭素社会の実現に向けて、全固体リチウムイオン二次電池の放電容量を向上させる革新的な全固体リチウムイオン電池の創成プロセスの確立が求められる。本研究では、ナノサイズ固体電解質の液相合成、および活物質と固体電解質の液相複合化に焦点を当て、各工程におけるカギとなる物理化学現象を解明すると共に、複合粒子材料の新規合成プロセスを構築する。2020年度の研究実績は以下の通りである。1. 前年度までに、溶解析出法により調製した微細Li2Sを用いることで、液相加振法によって固体電解質(LPS)のナノ粒子合成が可能であることを見出しているものの、そのナノLPS粒子を用いた電池性能評価は不十分であった。そこで、ナノLPS粒子を用いて作成したハーフセルの電池性能評価を行ったところ、従来法で得られたLPSを用いた場合と、電池性能は同程度であることを見出した。LPSのナノサイズ化によって界面抵抗が増大することが予見されていたものの、その影響は小さく、これらは高容量を達成する複合粒子の作成や高密度充填の電極作成に繋がることを示唆する重要な結果といえる。2. LPS粒子のサイズ制御法を確立したものの、電極の高密度充填のためにはどの程度の粒子サイズが必要であるかは不明である。特に、LPS粒子のようなサブミクロンサイズでは付着力が支配的となり、従来の充填理論が適用できない。そこで、離散要素法(Discrete Element Method)を駆使することで付着性粒子の充填圧縮プロセスの数値解析を行った。付着力の増加に伴って、充填時の空隙率は大きくなるものの、圧縮することで付着力による疎充填は改善されることを見出した。また、粒径比1:4の混合粉体の空隙率が最も小さくなり、LPS粒子のサイズ決定の指針を得た。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Advanced Powder Technology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.apt.2021.02.040
Powder Technology
10.1016/j.powtec.2021.04.050