研究課題/領域番号 |
18H01770
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
中尾 真一 工学院大学, 先進工学部, 教授 (00155665)
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研究分担者 |
赤松 憲樹 工学院大学, 先進工学部, 准教授 (50451795)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 化学工学 / 膜 / ファウリング / 水処理 |
研究実績の概要 |
今年度は研究初年度であり,まずカルボキシベタインポリマーのSI-ATRP(surface-initiated atom transfer radical polymerization)法による市販膜への固定のレシピを開発した.比較対象としてプラズマグラフト重合法によるカルボキシベタインポリマーの固定も検討し,重合量が同程度でも非常に高い透水性を有することを確認した.これは,SI-ATRP法を用いると,短いグラフト鎖を高密度に固定できたためであると考えている.またタンパクに対する高いファウリング防止性も評価できた. また多糖類に対するファウリング防止性も評価した.多糖類としてアルギン酸ナトリウム,グアーガム,リポ多糖を用いた.まずはファウリング防止のためのポリマー固定を行っていない未処理での評価から行い,多糖類の種類によって,ファウリングの程度が大きく異なることが明らかとなった.重要な成果として,アルギン酸ナトリウムのファウリングは膜面および細孔内部への吸着が,フラックス低下の主要因であることを明らかにしたことが挙げられる.これを示すため,浸漬試験という新しい実験系を開発し,通常の透過試験との比較を行うことで,ファウリングポテンシャル物質の吸着がフラックス低下に与える影響を定量的に評価できるようになった.グアーガムのファウリングは,吸着以外の因子もフラックス低下に寄与していると示差される結果が得られており,より詳細な検討が必要である.またファウリング防止のためのポリマー固定を行った膜に対しても,検討を始めている.現時点ではタンパクに比べファウリング防止性が限定的であるが,ポリマー固定法のチューニングにより膜構造の最適化を図り検討を継続する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記載の検討事項(SI-ATRP法による膜面修飾,多糖類のファウリング防止性の評価)を予定通り実施し,概ね期待した成果が得られているため.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,研究を推進する.
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