研究実績の概要 |
PtRu/RGO触媒の再積層を抑制し、PtRu利用率の向上を目的に、RGOシート間の積層力を弱める操作としてGO分散溶液を凍結乾燥して得たGOエアロゲル(GOA)に熱処理を加える処理を検討した。GO分散溶液の液滴を凍結乾燥させ、液滴状のGOAを調製し、GOAに200℃の熱還元処理を施した。これを再分散させた溶液にPtRu微粒子を担持して得たPtRu/RGOA触媒では、PtRu/RGOに比べECSAが35m2/g-PtRuから75m2/g-PtRuに大きく増加し、またPtRu利用率も67%から79%へ、質量活性は50A/g-PtRuから75A/g-PtRuへと増大させることができた。XPS測定の結果、この処理により表面酸素官能基のC-O-C結合割合が大幅に減少し、処理によりGO表面のエポキシ基が特異的に取り除かれていることがわかった。これによって水素結合を介してのRGOシート間の積層力が弱まり、PtRu利用率が増大したと考えられる。 触媒利用率と質量活性のさらなる増大のために、PtRu/RGOAとナノ粒子(ケッチェンブラック,TiO2, Ti4O7)との複合化を検討した。PtRu/RGOの分散溶液にナノ粒子を加え、分散処理を施して触媒インクを調製した。重量比でPtRu/RGOA:ナノ粒子=9:1でガラス状炭素電極に調製した触媒層は、ナノ粒子がRGOシートの間に取り込まれ、その結果多孔質の膜状の形態になっていることがわかった。Ti407粒子を用いた場合ではECSAは120m2/g-PtRu、PtRu利用率は120%と大幅に上昇し、市販のPtRu/C触媒の約2倍の質量活性を示した。PtRu/RGOAとナノ粒子の複合化でPtRu利用率の向上と大幅な質量活性の増大を可能にできることを明らかにした。
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