担持Ni触媒への助触媒Znの添加を系統的に検討した。Znを添加していないNi/ZrO2のNH3選択率は87%であった。Ni/ZrO2にZnをZn/Ni=0.04で添加するとNH3選択率は57%へと大きく添加した。このとき、NO3-還元分解活性も約20%向上した。これ以上のZnの添加は逆にNH3選択率を上昇させた。このZnの添加効果はZrO2に対してNiとZnを同時に担持したときにのみに発現し、 ZnはNiに固溶していることが構造解析から確認された。また、予め調製したNi/ZrO2に後からZnを添加しても、Zn添加効果は発現しなかったことから、ZnがNiに固溶した構造がZn添加効果の発現に重要であるが分かった。 NO3-還元反応の反応速度論解析より、Znの添加によってH2分圧に対する反応次数がZn未添加の0.3次から1.7次へと大きく上昇した。また、NO3-濃度に対する反応次数がZn添加によって0次から-0.8次へと大きく低下した。これらのことは、Zn添加によってNiの水素活性化能が抑制されたこと、また反応中はNi粒子表面が酸化された状態にあることを示唆しており、これによりNO3-の水素化生成物であるNH3への選択率が低下した考えられる。実際にH2還元後の触媒を空気に暴露したところ、Zn添加によってNi粒子表面が酸化されやすくなっていることが確かめられ、このことは反応速度論解析の結果を支持した。
|