研究課題/領域番号 |
18H01783
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60312823)
|
研究分担者 |
野澤 和生 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00448763)
蔡 安邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90225681)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ラネー触媒 / 単結晶 / リーチング / ナノ・バルクハイブリット触媒 / 金属間化合物 |
研究実績の概要 |
ラネー金属触媒は、極めて高い触媒能を有するバルク型金属触媒としてよく知られている。その製法は触媒活性金属Xを含むAl基二元ラネー合金(Al-X; X= Ni, Co, Cuなど)からアルカリ水溶液中でAlをリーチング(選択的溶出)させる極めて単純なものであるが、バルク型の金属触媒として実に画期的なものである。しかし、これまでのラネー触媒の多くは単一金属系であるため触媒材料としてその安定性や高機能化の面で限界があり、この分野の触媒研究はあまり進展してこなかった。 そこで、本研究では、触媒化学と金属材料科学(結晶・構造、組織、腐食特性など)の観点からラネー合金の単結晶を用いて選択溶出過程を検証しそのバルク型金属触媒における特異な活性発現起源を学理的に理解するとともにさらにAl基三元系ラネー合金(Al-X-Y)へ発展させ全く新しいナノ・バルクハイブリット触媒材料を創製することを目的とした。特に、本研究は、ラネー触媒の特異な活性の発現要因とされる選択溶出処理における形態・構造変化を明確にするため、ラネー合金単結晶(CaF2-type構造:Al2AuとAl2Pt)をターゲット試料としている。 本年度は、主にこれら単結晶試料の作製条件を種々検討した。その結果、フラックス法を用いることで良質な単結晶試料が作製できることがわかってきた。そこで、今後は、これら良質な試料のサイズアップを試み、特定の結晶面の方位出しを行い、結晶面・結晶方位と選択溶出特性(溶出速度とポーラス形態)、導入される歪・欠陥との相関、粒界の影響などを詳細に調べる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における目的を達成するためには、well-definedなラネー合金(金属間化合物)の組成・結晶構造および選択溶出条件を明確にすることが重要である。本研究の目的遂行のためには、リーチング処理による形態・構造変化をより明確にできるモデルラネー合金単結晶(単一相)試料にフォーカスする方がより本質的な知見が得られると判断し、単結晶試料作製条件を中心に検討した。そのため、モデルラネー合金単結晶試料のリートベルト解析等を用いた精密構造解析および各種キャラクタリゼーションを充実させた。
|
今後の研究の推進方策 |
リーチング時にCaF2構造からfcc構造へのAu (or Pt)の再構成に伴うポーラス体形成やその構造・形態変化をナノ~バルクレベルで解明する。固溶体系規則合金(Cu3Au, Cu3Ptなど)やラネー合金多結晶体(Al2Au, Al2Pt, Al3Ni,Al3Co,Al2Cuなど)とも比較を行うことで溶出過程と構造・形態変化、構造異方性や結晶粒界の影響を明確にする。また、各種触媒反応(活性金属種に合わせて反応を選択:CO酸化・水素化、炭化水素類の水素化・水蒸気改質反応など)を適宜行い触媒特性との相関も詳細に調べる予定である。
|