| 研究課題/領域番号 |
18H01790
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50314406)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | ナノ複合化触媒 / 金属ナノ粒子 / 金属酸化物ナノ結晶 / 資源有効利用反応 / バイオマス / バイオリファイナリ― / 還元反応 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題では、申請者らがこれまでに開発してきた金属活性種の精密設計と、無機結晶性固体をマクロリガンドとする固体金属触媒の精密設計指針を発展させ、金属ナノ粒子と金属酸化物ナノ結晶を複合化した新規なナノ複合化触媒の新たな設計・開発を行っている。高活性触媒サイトとなる金属ナノ粒子と酸化物ナノ結晶との接合界面を最大限に利用する手法を開発することにより、従来の固体触媒では困難であった活性サイトの構造と反応性の相関を明らかにし、新たな触媒分野を開拓に挑戦している。これまでに、複合化された固体触媒の研究を展開し、ルテニウムやパラジウムなどの貴金属ナノ粒子/酸化物ナノ粒子複合体を金属リン酸塩結晶や金属酸化物結晶表面に固定化した複合化触媒を調製し、選択的な炭素－炭素結合形成反応や炭素－炭素結合切断反応に優れた触媒機能を示すことを見出してきた。また、高原子価金属酸化物を完全に還元することなく部分還元した酸化物ナノ結晶と貴金属ナノ粒子を複合化、さらに酸化物担体表面へ固定化することで、これまでにない高選択的なアシルカルボニル基の脱酸素反応が進行することを見出した。白金ナノ粒子とモリブデン酸化物を複合化したPt-Mo触媒は、バイオマス由来のジカルボン酸からジオールへと極めて高い選択性を示し、既報の反応条件に比較して極めて温和な条件への適用が可能となった。また、環境に優しい水溶媒を用いて反応を行うことができた。種々のジカルボン酸類にも適用可能であり、ファインケミストリーに適用できるよりグリーンな触媒の開発につなげることができた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、白金ナノ粒子と酸化モリブデンナノ結晶の組合せたPt-Mo触媒がバイオマス由来カルボン酸の還元反応に高活性・高選択性を示すことを見出している。本触媒系の適用性をさらに発展させ、バイオマス由来のジカルボン酸類への適用を図った。これまで高圧、高温を必要としたジカルボン酸の還元に対して、Pt-Mo触媒はより温和な反応条件下で、環境に優しい水溶媒を用いて反応を行うことができた。また、一般にカルボン酸よりも反応性が高いとされるエステル基の共存下においても、カルボン酸の還元が優先する、特異な官能基選択性を示すことを見出した。本触媒系については、流通系条件での反応への適用も検討を行っている。
また、前年度までに開発したPd/CeO2触媒系と固体酸触媒を組み合わせる複合化触媒系によって、ポリオールの保護、炭素－炭素結合切断、脱保護の3つの反応によりバイオマス由来グリセロールからエチレングリコールへの連続反応への検討を行っている。上記の成果は、各種の学会での報告を行った。予定していた検討からさらに興味深い反応結果が現れており、計画期間内での成果報告に向けて研究を行っている。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、環境調和型反応の実現に向けた金属ナノ粒子と金属酸化物ナノ結晶を複合化した新規なナノ複合化触媒の開発である。貴金属を含む後周期遷移金属と各種の金属酸化物を組み合わせた触媒について引き続き検討するとともに、近年課題となっているより安価で経済戦略物資となりにくい、非貴金属触媒の高機能についても検討を行う。具体的には次の２点を中心に研究を展開する。
(1)複合系ナノ粒子触媒の開発：無機の結晶性固体を利用するナノ粒子固定化固体触媒の合成では、固体表面への固定化を経るナノ粒子合成法を、貴金属以外のCoやNi、Feなどの遷移金属に拡張する。従来、容易に酸化されるために使いづらい非貴金属触媒を、安定化する金属ナノ粒子固定化法を確立する。高難度な反応となるカルボニル酸素の脱酸素反応をターゲットして触媒活性の向上を図る。またこの知見を活かして二酸化炭素の変換反応も検討する。
(2)バイオマス由来化合物変換反応への応用については、触媒のカラム充填によるフロー触媒システム（ミニプロセス化）構築に向けて、触媒調製と反応条件検討を行う。特に、反応条件をさらに緩和できる、低圧下で高活性を示す触媒を開発し収率100%の達成を目指す。
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