研究課題
【研究項目1】 血管安定化構造の検証: 血管内皮細胞とペリサイト(PC)の制御因子として血管内皮細胞に発現するTie-2受容体が発見されており、アンジオポエチン-1 (Ang-1) により血管内皮とペリサイトの結合は増強され、アンジオポエチン-2 (Ang-2) により結合は崩れ、血管新生が誘導され、血管構造は不安定化する。初年度に作製したモデルに対して、Ang-1とAng-2をそれぞれ作用させ、血管内皮細胞とPCとの接合性について組織学的解析を行い、本システムにおいてvivoでみられる血管安定化・不安定化作用が再現しうることを確認した。【研究項目2】 VEGFによる血管新生評価:CapSC/PCと微小血管との共培養系でのVEGFによる血管新生(本数・ 長さ)、血管透過性(70 kDa, 2000 kDaデキストラン分子)、CapSCのカバー率について 定量的な評価を行い、CapSCはPCに比べ血管新生の促進と新生した血管の成熟に強く寄与することを明らかとした。【研究項目3】血管形成におけるシミュレーション: 流れ負荷・増殖因子添加時の血管構造の変化について、血管形状と流体計算から得られるせん断・圧力などの関連付ついて検討を行った。マウス網膜組織由来血管の二次元顕微鏡画像から血管網の3次元構造を再構築する手法を構築した。また、再構築された血管網に対して数値流体シミュレーションを適用して、局所の血行力学的因子を推定することが可能となった。得られたシミュレーション結果より、プルーニングと血行力学因子の関係を整理し、局所のせん断応力が小さい場所のみならず、せん断応力の大きな場所においてもプルーニングが生じることを明らかにした。また、せん断応力が大きな血管のプルーニングは、抹消部における血流分布に大きな影響を与えることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
In vitroのシステムを用いた血管形成におけるPCとCapSCの役割について新しい知見を見出した。また、血管画像の流体シミュレーションから局所の血行力学的因子を推定することが可能となり、血管新生のダイナミクスを工学的に理解する基盤技術が構築されつつあるため。
CapSC/PCとECとの共培養によるin vitro微小血管システムを用いて、圧力等の環境を変化させて培養したときの血管構造のダイナミクスを可視化し、流体シミュレーションと組み合わせることで、CapSC/PCの血管新生・血管安定化における役割と、効率的な血管再生を促す条件を見出す。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 3件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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