組織幹細胞維持機構解明のための微小血管システムの構築

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H01793
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 松永 行子 (津田行子) 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00533663)
• 研究分担者: 川辺 淳一 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10400087) ; 長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30396783)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 血管新生 / ペリサイト / 流体シミュレーション / 三次元モデル / マイクロデバイス

研究実績の概要

皮下脂肪など正常組織から分離した微小血管由来幹細胞CapSCについて、血管新生分化能を含めた血管新生能や組織実質細胞への分化能や生体での組織再生能を評価するため、障害骨格筋モデルあるいは筋ジストロフィー症モデルマウスへGFP標識CapSC移植実験を行い、CapSCは血管新生能と共に骨格筋細胞への分化を介して、優れた骨格筋組織再生能をもつことを明らかにした。CapSCの血管新生への役割を細胞-組織レベルで理解するため、三次元微小環境モデルを作製した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とCapSCを共培養したところ、HUVEC単独培養に比べ、CapSC共培養条件において、新生血管はより長く成熟した構造を有することが明らかとなった。IMARISを用いた三次元画像解析よりCapSCは一部が内腔面においてHUVECを単層を形成、さらに、新生血管を裏打ちするように存在していた。つまりCapSCは、内皮化および壁細胞化することで、成熟した血管構築に寄与していることが明らかとなった。また、顕微鏡画像から毛細血管網の３次元構造を再構築するための手法を開発し、これを血流シミュレーションコードに取り込むことにより、局所の血行力学的因子を取得することに成功した。開発したコードを用いて、分岐パターンが異なる血管網の血流シミュレーションを実施し、分岐パターンが組織内の輸送特性に与える影響を明らかにし、実験との定性的な一致を確認した。血管内圧力・流れを制御するシステムを開発し、物理的環境変化による血管新生・血管透過性評価が可能となった。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] INSERM/リール大学(フランス)
  • 国名: フランス
  • 外国機関名: INSERM/リール大学
• [雑誌論文] A 3D tissue model-on-a-chip for studying the effects of human senescent fibroblasts on blood vessels (2021)
  • 著者名/発表者名: Joris Pauty, Shizuka Nakano, Ryo Usuba, Tadaaki Nakajima, Yoshikazu Johmura, Satotaka Omori, Naoya Sakamoto, Akihiko Kikuchi, Makoto Nakanishi, Y.T. Matsunaga
  • 雑誌名: Biomaterials Science 巻: 9 ページ: 199-211
  • DOI: 10.1039/d0bm01297a
  • 査読あり
• [雑誌論文] Multiscale parareal algorithm for long-time mesoscopic simulations of microvascular blood flow in Zebrafish (2021)
  • 著者名/発表者名: Blumers, A., Yin, M., Nakajima, H., Hasegawa, Y., Li, Z., Karniadakis, G.E.
  • 雑誌名: arXiv 巻: - ページ: -
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Numerical evaluation reveals the effect of branching morphology on vessel transport properties during angiogenesis (2021)
  • 著者名/発表者名: Mirzapour-shafiyi, F., Kametani, Y., Hikita, T., Hasegawa, Y., Nakayama, M.,
  • 雑誌名: Plos Computational Biology 巻: - ページ: 1-16
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] A simple three-dimensional gut model constructed in a restricted ductal microspace induces intestinal epithelial cell integrity and facilitates absorption assays (2020)
  • 著者名/発表者名: Tadaaki Nakajima, Katsunori Sasaki, Akihiro Yamamori, Kengo Sakurai, Kaori Miyata, Tomoyuki Watanabe, Yukiko T. Matsunaga
  • 雑誌名: Biomaterials Science 巻: 8 ページ: 5615-5627
  • DOI: 10.1039/D0BM00763C
  • 査読あり
• [雑誌論文] 血行性転移時の細胞動態解明に向けた生体模倣血管モデルによるアプローチの現状 (2020)
  • 著者名/発表者名: 池田 行徳、松永 行子
  • 雑誌名: 生産研究 巻: 72 ページ: 261-267
  • DOI: 10.11188/seisankenkyu.72.261
  • 国際共著
• [雑誌論文] TGF-beta and TNF-alpha cooperatively induce mesenchymal transition of lymphatic endothelial cells via activation of Activin signals (2020)
  • 著者名/発表者名: Y. Yoshimatsu, S. Kimuro, J. Pauty, K. Takagaki, S. Nomiyama, A. Inagawa, K. Maeda, K.A. Podyma-Inoue, K. Kajiya, Y.T. Matsunaga, T. Watabe
  • 雑誌名: PLOS ONE 巻: 15 ページ: e0232356
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0232356
  • 査読あり
• [雑誌論文] EphA7+ perivascular cells as myogenic and angiogenic precursors improving skeletal muscle regeneration in a muscular dystrophic mouse model (2020)
  • 著者名/発表者名: Kohei Kano, Kiwamu Horiuchi, Yuri Yoshida , Taiki Hayasaka, Maki Kabara, Yui Tomita, Takamitsu Tatsukawa, Risa Matsuo, Jun Sawada, Naoki Nakagawa, Naofumi Takehara, Naoyuki Hasebe, Jun-Ichi Kawabe
  • 雑誌名: Stem Cell Research 巻: 47 ページ: 101914-101914
  • DOI: 10.1016/j.scr.2020.101914
  • 査読あり
• [学会発表] Visualizing behavior of capillary blood vessels using microphysiological system (2021)
  • 著者名/発表者名: Yukiko T. Matsunaga
  • 学会等名: Online workshop between MESA+ and IIS
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 微小血管のOrgan on a chipによる フェノタイプ解析と治療標的探索 (2021)
  • 著者名/発表者名: 松永行子
  • 学会等名: 2020年度 日本学術会議シンポジウム 創薬を加速させる革新的な細胞・臓器・個体モデル
  • 招待講演
• [学会発表] 加齢に伴う脈管機能低下を見える化する三次元in vitroモデル (2020)
  • 著者名/発表者名: 松永行子
  • 学会等名: 第43回日本分子生物学会年会 MBSJ2020
  • 招待講演
• [学会発表] 組織の加齢性変化をみえる化する三次元in vitroモデル (2020)
  • 著者名/発表者名: 松永行子
  • 学会等名: 第15回ナノ・バイオメディカル学会大会
  • 招待講演
• [学会発表] 老化線維芽細胞の物理物性と血管との相互作用の評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 中野静香, 菊池明彦, 坂元尚哉, 松永行子
  • 学会等名: 第20回東京大学生命科学シンポジウム
• [学会発表] 消化器がんの血行性転移時における細胞動態の可視化評価系構築 (2020)
  • 著者名/発表者名: 池田行徳, 中島忠章, 松永行子, 大島浩子, 大島正伸
  • 学会等名: 第20回東京大学生命科学シンポジウム
• [学会発表] 三次元ヒト腸管モデル を用いた、管状領域制限が上皮形態形成に与える影響の解析 (2020)
  • 著者名/発表者名: 中島忠章, 佐々木克典, 山森明弘, 櫻井研吾, 宮田かおり, 渡辺知幸, 松永行子
  • 学会等名: 日本動物学会第91回大会
• [学会発表] 食品の血管への作用をみえる化する血管チップの構築 (2020)
  • 著者名/発表者名: 松永行子
  • 学会等名: 食品ニューテクノロジー研究会
• [学会発表] 「ゼブラフィッシュ脳内血管網における生体ライブイメージングを用いた１次元血流モデルの検証」 (2020)
  • 著者名/発表者名: 中倉満帆，Yin, M., 中嶋洋行，Karniadakis, G., 長谷川洋介
  • 学会等名: 日本流体力学会年会2020，宇部，2020年9月18-20日
• [学会発表] EphA7陽性周細胞は、筋ジストロフィーモデルマウスの病態を改善する. (2020)
  • 著者名/発表者名: 鹿野耕平, 堀内至, 吉田有里, 早坂太希, 鹿原真樹, 富田唯, 竜川貴光, 松尾梨沙, 安田哲, 澤田潤, 中川直樹, 竹原有史, 長谷部直幸, 川辺淳一
  • 学会等名: 第19回日本再生医療学会総会
• [学会発表] EphA7 陽性周細胞=毛細血管幹細胞 (Capillary Stem Cells) の同定とその組織再生能・下肢虚血改善能の検討. (2020)
  • 著者名/発表者名: 吉田有里, 鹿原真樹, 鹿野耕平, 早坂太希, 堀内至, 竹原有史, 長谷部直幸, 東信良, 川辺淳一
  • 学会等名: 第19回日本再生医療学会総会
• [学会発表] Transplantation of capillary stem cells improves skeletal muscle regeneration in muscular dystrophy. (2020)
  • 著者名/発表者名: Kohei Kano, Kiwamu Horiuchi, Yuri Yoshida, Taiki Hayasaka, Maki Kabara, Yui Tomita, Takamitsu Tatsukawa, Risa Matsuo, Satoshi Yasuda, Jun Sawada, Naoki Nakagawa, Naofumi Takehara, Naoyuki Hasebe, and Jun-ichi Kawabe
  • 学会等名: 第61回日本神経学会学術大会
• [図書] Biology of Pericytes- Recent Advances Chapter 8 "EphA7+ Multipotent Pericytes and Their Roles in Multicellular Organisms" (2021)
  • 著者名/発表者名: Jun-Ichi Kawabe
  • 総ページ数: 13
  • 出版者: Springer Nature Switzerland AG 2021
  • ISBN: 9783030621285
• [備考] 松永研究室ホームページ
  • URL: http://www.matlab.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html