研究課題/領域番号 |
18H01794
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新垣 篤史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10367154)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バイオミネラリゼーション / 遺伝子発現制御 / 生体機能利用 / ナノ材料合成 / 反応プロセス制御 |
研究実績の概要 |
磁性細菌は、細胞内に脂質二分子膜から成る微小空間(コンパートメント)を形成し、この中で単結晶の酸化鉄磁性ナノ粒子を合成する。この合成プロセスには複数のタンパク質が関与しており、遺伝子から発現したタンパク質が、コンパートメント内に順序立てて配置され、連続的で精巧な磁性ナノ粒子の化学反応プロセスがコンパートメント内で構築されている。本研究では、コンパートメントの機能と構造を遺伝子工学的に改変することで、従来の化学合成系では実現のできない、新しい形態や組成を持つ磁性ナノ粒子の合成プロセスの構築を目的としている。本年度は、磁性細菌の細胞の外から誘導剤を添加することにより、細胞の中で起こる磁性ナノ粒子形成に関わる遺伝子の発現制御を行う系の構築を行った。誘導剤の添加により制御可能なオペレーター配列を、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子のプロモーター部位に連結し、遺伝子発現が制御可能な遺伝子組換え株を作製した。これによって、粒子の大きさと形態が制御可能であった。ゲノム上における磁性ナノ粒子合成関連遺伝子のコピー数を増やすことで遺伝子の発現を増強し、1つの細胞が合成する粒子数を増加させることも可能であることを示した。また、金属イオントランスポータータンパク質をコードする遺伝子を導入した組換え株を作製した。実際に、トランスポータータンパク質の発現を確認し、細胞内への金属イオンの取り込み量の増加を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子の発現制御系を構築した。また、金属イオントランスポーターの発現と、それに伴う細胞内への金属イオン取り込み量の増加を確認し、細胞内コンパートメントの制御による磁性ナノ粒子合成プロセスの構築に向けた基盤となる技術を整備した。したがって、当初の計画通り、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、下記の研究項目について検討を行う。 -複数遺伝子の同時発現制御の動作確認 -金属イオン導入に伴う磁気微粒子の組成変化の解析 -磁性ナノ粒子のサイズ・形態制御系の確立
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