研究課題
磁性細菌は、細胞内に脂質二分子膜から成る微小空間(コンパートメント)を形成し、この中で単結晶の酸化鉄磁性ナノ粒子を合成する。この合成プロセスには複数のタンパク質が関与しており、遺伝子から発現したタンパク質が、コンパートメント内に順序立てて配置され、連続的で精巧な磁性ナノ粒子の化学反応プロセスがコンパートメント内で構築されている。本研究では、コンパートメントの機能と構造を遺伝子工学的に改変することで、従来の化学合成系では実現のできない、新しい形態や組成を持つ磁性ナノ粒子の合成プロセスの構築を目的とした。最終年度は、金属イオントランスポーター遺伝子の発現によって、コンパートメント内に鉄以外の金属イオンの導入に成功した。金属イオン導入に伴い、コンパートメント内で合成される磁性ナノ粒子の磁気特性向上を確認した。さらに、粒子数制御や形態制御に関与する遺伝子群のマルチコピー化した組換え株を作出し、細胞内に形成するコンパートメントの活性化によって、1細胞当りの磁性ナノ粒子合成量の増加が可能なことを示した。同株の大量培養系の構築と磁性ナノ粒子生産量の向上を確認した。以上、3年間の研究期間において、当初計画した磁性ナノ粒子の形態や組成を制御可能な合成プロセスの構築に成功した。また、この研究過程において、当初予想しなかった形態制御タンパク質の特異な酸化物吸着機能を明らかにするなど、今後の展開に繋がる成果も獲得した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biotechnology Journal
巻: 15 ページ: 2000278
10.1002/biot.202000278
Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials
巻: 111 ページ: 103991
10.1016/j.jmbbm.2020.103991
http://web.tuat.ac.jp/~biomol/index.html