研究課題/領域番号 |
18H01796
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清水 一憲 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70402500)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオマイクロシステム / 組織工学 / マイクロデバイス / 生体医用工学 / 生物工学 |
研究実績の概要 |
疾患創薬研究の効率化や高精度化のための新技術として、インビトロ培養組織モデルの開発が求められている。本研究では、生体内の筋線維タイプ決定プロセスを模倣し、従来技術では不可能であった異なる筋線維タイプがモザイク状に束になった培養筋組織(モザイク状筋組織)を開発する。すなわち、共培養マイクロデバイス上にiPS由来運動神経細胞と機能的に接合した筋組織を構築し、筋組織内の一部の筋線維と接合した運動神経細胞に遅筋用もしくは速筋用刺激を選択的に負荷することで、遅筋線維と速筋線維がモザイク状に存在する培養筋組織を構築する。一年目(平成31年度)は次の内容を実施した。インビトロ筋線維タイプ別分化制御技術を確立するために利用する、運動神経細胞と筋細胞を平面共培養するためのマイクロデバイスの開発を行った。デバイスには神経培養領域と筋培養領域があり、軸索だけ通過可能なマイクロ流路でつながっている。神経培養領域にヒトiPS由来運動ニューロン播種することで、軸索だけがマイクロ流路を通り、筋培養領域に到達することを明らかにした。さらに軸索先端と筋培養領域で培養したマウスC2C12筋管細胞上のアセチルコリンレセプターの凝集が重なって観察されたことから、デバイス上での神経筋接合部形成が示唆された。また神経筋の接合頻度をさらに向上させるための培養プロセス開発も行った。ライン状のマイクロ凹凸パターン基板表面でヒト不死化筋細胞を培養することでアセチルコリンレセプターの凝集が促進することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主に平面共培養デバイスの開発を行い、その成果を論文投稿するに至ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の進捗に従い、平面共培養デバイスの開発と共培養プロセスの開発を継続する。特に、微小電極アレイ上にデバイスを搭載し、その上でのヒトiPS由来細胞の共培養プロセスの開発を行う。また、今年度見出したラインパターン表面の、アセチルコリンレセプター凝集に対する効果のメカニズム検討を行う。さらに、モザイク状筋組織モデル構築のための三次元共培養デバイスの開発をヒトiPS由来運動神経細胞とヒト不死化筋細胞を用いて行う予定である。
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