研究課題/領域番号 |
18H01797
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20359938)
|
研究分担者 |
中畑 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40755641)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | バイオプリンティング / 再生医療 / 組織工学 |
研究実績の概要 |
再生医療に大きな進歩をもたらすものとして、厚みのある機能的な組織体を生体外で構築する方法の確立が望まれている。一方、それを阻んでいるのが、個々の細胞のライフラインとなる血管網様構造の構築と、細胞を適切な位置、適切な環境に配置することを同時に可能とする方法の欠如である。2019年度は、この解決につなげるための技術として、血管様流路の鋳型となる細胞に穏和に溶解可能かつ、西洋わさび由来ペルオキシダーゼの酵素反応によって、細胞に穏和にゲル化できる材料をインク成分としてた場合に、高精度に他のインクと切り替えながら印刷できるシステムの開発に取り組んだ。また、細胞に穏和にゲル化できる材料として、これまでの酵素反応によりゲル化するインク材料に加え、可視光照射によりゲル化するインクの開発にも取り組んだ。その結果、複数のインクを単一のノズルを用いて切り替えながら印刷できるシステムの開発に目処がついた。さらに、血管様流路の欠如と共に、印刷された構造物内での細胞の増殖を阻害する要因の一つとなっている、細胞周囲ゲルの強度が細胞増殖の点からは強すぎるという問題の解決に取り組み、細胞に穏和にゲル化するインクを使用した、新たな印刷法を開発することができた。いずれの検討においても、造形精度の点においては、さらなる改善が必要な状況であり、今後は、造形精度向上の点からのプリントシステムの改善にも重点を置いた検討を実施する必要があることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たなインク材料の開発に関しては、予定よりも進んでいる。一方で、インクジェットプリンタを使用した検討においては、前年度に引き続いて、吐出可能な物性を有するインクを獲得することに時間を要しており、十分に検討が進行していない。
|
今後の研究の推進方策 |
血管様流路の導入以外にも、3Dプリントにより作製される構造体内部の成長を阻害する要因として、細胞周囲のゲルによる力学的なストレスによる阻害の影響が極めて大きいことがわかってきた。今後、この点の解決を目指した検討も実施する必要がある。
|