研究課題/領域番号 |
18H01803
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安浦 雅人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20760408)
|
研究分担者 |
芦葉 裕樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (90712216)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | タンパク質検出 / 蛍光検出 / 近接場光 |
研究実績の概要 |
蛍光を利用するEFA-NIバイオセンサ検出系の改良を行った。昨年開発した系はモデルターゲットをウイルス粒子としていたが、これをPSAやHBsに代表されるバイオマーカーに合わせタンパク質検出に応用する検出系の開発を実施した。1ターゲットに複数の同一エピトープを持つウイルス粒子と異なり、タンパク質検出では基本的に1ターゲットに対して磁性粒子と蛍光マーカーが1つずつしか結合できないため、蛍光マーカーサイズの大粒径化などの変更が加わった。タンパク質検出のモデル系として、性能の良い市販抗体のラインナップが豊富なインフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)をターゲットとした。この系の開発に伴い、EFA-NIバイオセンサに使用する抗体修飾磁性粒子及び蛍光粒子の反応性を評価するサンドイッチELISA系を構築した。このELISA系により、EFA-NIでのサンドイッチプロトコルに使用可能な抗体ペアの選別を可能とした。 また、並行して定量性・装置・検出プロトコル・チップ等の改良を行った。これまでに開発実績のあるノロウイルス様粒子をターゲットとした散乱光像を用いるモデル系において、定量性測定を行いaM~fM域の2~3桁のダイナミックレンジにおける計測を実現した。本開発の内容は、JJAP誌に掲載された。装置の磁場印加部を改善して単一の部材で検出対象の捕集・移動操作を可能とし、観察視野内への捕集効率を高めることで検出能力が向上した。混合プロトコルに脱磁工程を導入することで偽陽性信号の低減に成功した。この開発成果は特許出願中である。チップ表面の非特異吸着抑制修飾についても検討し、BITE2019において報告した。近接場照明系の効果的な光強度増強手法を模索し、3層構造の平面導波路を用いた安価な近接場照明用チップを開発した。本開発の内容はSensors and Materials誌に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高感度、高精度を実現するための捕集効率向上手段、偽陽性低減手段、非特異吸着抑制条件などの知見を着実に蓄積し、特許出願等想定以上の成果がでている。目標とするタンパク質検出系とその試薬評価手法の開発も順調に進行しており、直径35nm程度と大きいカプシドタンパクをターゲットとした系ではあるが定量性計測に向けたモデル系開発にも成功した。PSAやHBsなどタンパク質ターゲットにおける蛍光検出系の開発は、当初想定よりも困難であることが明らかになったものの、着実に条件検討は進められており成果があがりつつある。総じて、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き、体液中サンプル計測を目的とした蛍光利用EFA-NI系の開発を進める。検出対象をPSAやHBsとした検出系を確立し、体液中検出を実施する。プロトコル開発においても、昨年に引き続きダイナミックレンジ拡張や偽陽性低減のためのプロトコル改良、手法開発を行う。
|