研究課題
2020年は、関連する論文を含め12編の論文を発表した。特に円偏光に関する主な3つの成果は以下のとおりである。(1)円偏光を用いたラマン分光を用いて、遷移金属ダイカルコゲナイド物質のラマンスペクトルの解析を行い、特に散乱光の円偏光が変わるか、保存されるかの結果が単にフォノンモードの対称性によるものではなく、励起子由来の対称性を反映していることを見出し、共同研究者との実験結果を説明した。(2)遷移金属ダイカルコゲナイド物質のEL発光は、電流の向きによって左右の円偏光が出てくることが実験で観測されているが、この現象を理論的に解析し物質に歪を加えた場合により鮮明に円偏光が得られることを見出した。(3)ドープしたカーボンナノチューブの円偏光二色性の計算を行い、ドープしたカーボンナノチューブの光吸収が表面プラズモンによること、また円偏光二色性の大きさが非常に大きくなることを見出した。そのほか、(4)表面プラズモンに関するReview論文を発表した。(5)Janus型遷移金属ダイカルコゲナイド物質の電子状態計算結果に関する論文を発表した。(6)遷移金属ダイカルコゲナイドの光吸収スペクトルの温度依存性を計算で明らかにし、実験と一緒に論文に発表した。(7)Weyl半金属におけるファノ共鳴に異方性があることを実験結果とともに理論的に解析し論文に発表した。(8)遷移金属ダイカルコゲナイドのラマンスペクトルの歪依存性の計算結果を論文に発表した。(9)2次元物質の熱電特性に関するReview論文を発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
2次元物質と円偏光に関係する複数の現象について、科研費を申請したときの問題はほぼ解決し、現在はより広い問題に関して研究を展開している。
現在2021年度が終了した段階であり、2022年度が最終年度であるので、残された時間で遷移金属ダイカルコゲナイドのナノチューブやナノワイヤーのラマンスペクトルの計算や、非線形応答の問題を円偏光の現象と合わせて研究を展開したい。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 12件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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