円偏光のフォトンは角運動量を持ち、回転対称性を持つ2次元物質との相互作用において、擬角運動量(離散的な角度の運動で定義される角運動量)が保存する。このとき、共鳴ラマン分光において、入射光と散乱光が円偏光の場合に、円偏光のヘリシティが変わらないラマン散乱と符号が反転するラマン散乱がある。本研究では、この現象を理論的に解析し、(1)角運動量保存の法則からラマン散乱におけるヘリシティの符号の関係を明らかにした。(2)またラマンテンソルの式から、現象を回転対称性を持たない系でも説明できることを示した。(3)さらに、第一原理計算から円偏光共鳴ラマン強度を計算するプログラムを作成し、計算した。
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