研究課題
本研究はスピン流のコヒーレンスに注目し、スピン流を用いた超高感度デバイスの基礎研究を行うものである。非磁性体中のスピン流はアップ・ダウン電子の化学ポテンシャルが異なる特異な非平衡状態である。この非平衡状態を円偏波のマイクロ波を利用して制御したり新機能を創出することが目的である。本研究の肝となるのはマイクロ波帯の円偏光を制御する技術である。昨年度、自作の円偏波空洞共振器を開発し、そこに円偏光マイクロ波を80%以上の高い純度で励振することに成功した。本年度はこの成果を論文にまとめ報告した。さらに、円偏波空洞共振器の改良を行い、励振効率・Q値を大幅に改善した。一方、スピン流を注入する対象となる物質の輸送現象、及び円偏光マイクロ波との相互作用に関する研究を行った。
2: おおむね順調に進展している
円偏波空洞共振器に改良を加え、共振モードのQ値を数1000程度から10000程度に増加させた。これによって、マイクロ波とデバイスの相互作用を高感度に評価できるようになった。さらに、GaAs/AlGaAs界面の二次元電子系と円偏光マイクロ波の相互作用を高い精度で評価することに成功した。
本年度は円偏波マイクロ波とGaAsベースの二次元電子系の相互作用の検出に成功した。今後はまず、円偏波マイクロ波の強度依存性を詳細に調べ、円偏波マイクロ波の照射による電子系のエネルギー分布の変調を調べる。次に、スピン蓄積状態にマイクロを照射した際の誘導放出の検出を行う。この際、グラフェン・InGaAs・GaAsなどの二次元電子系を対象とし、さらに、ゲート電圧の印加によって電子密度の変調を行うことで系統的に研究を進めていく。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
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