研究課題/領域番号 |
18H01817
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
久保 結丸 沖縄科学技術大学院大学, 量子ダイナミクスユニット, グループリーダー (20701436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スピン共鳴 / マイクロ波増幅 / 量子テクノロジー / 極低温 / マイクロ波増幅 / 電子スピン |
研究実績の概要 |
【意義と重要性】 電子スピン共鳴(ESR)分光は物性物理や材料科学のみにとどまらず,化学や生物など幅広い分野に応用されている.しかしながら,スピンの偏極率の悪さ,増幅器を含めた測定ラインの雑音が非常に大きいこと,そして共振器との相互作用が小さいこと,の3つの主な原因により,ESRの室温における感度は非常に悪い.これがESR測定においてバルクの試料が必要な理由である. 本研究では,ハイブリッド量子系と超伝導量子回路の技術を駆使し,量子力学的な限界の感度を持ちながらも汎用的な電子スピン共鳴(ESR)分光器を実現する.超伝導量子テクノロジーの1つである,量子力学的に最小の雑音を持つパラメトリック増幅器を汎用的な共振器と組み合わせることでこれを可能にする. 【研究成果】 ESRにはマイクロ波共振器が必要である.本研究で使用する5 GHz帯の共振器の設計及び実装をした.研究の過程で共振器をさらに改良する必要があることが判明し,その改良を行い,広帯域で動作する共振器の設計・実装を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共振器の改良などを行う過程において,電子スピンそのものがマイクロ波の増幅器として非常に有用であることを見出した.いわゆる「メーザー」(誘導放出によるマイクロ波増幅)の原理でマイクロ波の増幅が起こることは古くから知られているが,その雑音特性を10 mKの極低温において詳細に調べた例はこれまで無かった.本研究で,このメーザー増幅器(maser amplifier)が量子力学的に最小の(に近い)雑音しか持たず,量子コンピュータ等のマイクロ波周波数帯の量子テクノロジーに非常に有用であることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
上述したように,メーザー増幅器が量子テクノロジーに非常に有用であることを見出したので,今後はこれを中心に研究を進めていく.
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