研究課題
強い内因性スピン軌道相互作用を持つ原子層材料で実現する2次元トポロジカル絶縁体(2DTI)を実現することを目的として、本研究では、機械学習法で成長材料ごとに選定した半導体基板上に、2DTI物質群とV族半金属単原子層ビスマセン・アンチモセンを分子線エピタキシー法によって作製し、それらの電子状態をスピン分解角度分解光電子分光によって解明することを行う。3年度目となる本年度は、これまで整備した半導体基板水素加熱処理装置を用いて作成された水素終端SiC基板表面へのビスマス単原子層(ビスマセン)の作製を重点的に行った。研究を進める上で水素処理のみならずその前処理である化学エッチングを行うことが更なる基板表面の平坦化および水素終端化が必須であることが判明したため、急遽化学エッチング後にSiC基板表面を水素ガス処理を行った。その後前年度に改良した改良したMBE装置を用いてビスマス原子を蒸着しながら水素原子をSiC表面から脱離させることで、ビスマセンの成長を示唆するroot3xroot3R30°超構造をLEED装置を用いて観測することに成功した。さらにARPES実験を行うことで、明瞭なバンド構造を観測する一方、バンドギャップが開いたディラック電子状態の形成は観測されなかった。現在もまた本研究を継続し、ビスマセンの形成の有無を多角的に検討することを予定している。また、当初予定にはなかったトポロジカル絶縁体Bi2Se3のディラック電子状態の制御に関する研究も新たに整備したMBE装置を用いて進めてた。具体的には、MBE装置によってトポロジカル絶縁体Bi2Se3上に類似物質であるBi2Te3を数層ごと成長させることで表面ディラック電子状態のエネルギー準位のみを制御することに初めて成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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