本研究では,従来よりも1桁以上高い時間分解能を有する走査透過型電子顕微鏡法の開発を行った.走査コイルに関与する総インダクタンスを従来の200分の1以下に抑制することで,1ピクセル当たり83ナノ秒での走査が可能となり,1秒間に25フレーム(512×512ピクセル)の原子分解能像取得が実現した.原子分解能を保持しつつ時間分解能を大幅に改善することにより,固体内部や表面に存在する欠陥構造の動的観察が可能となった.従来の原子分解能観察では,静的な観察に留まっていたが,本研究開発により材料やデバイスの実環境下での観察への応用が期待される.
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