研究課題
基盤研究(B)
本研究では、単結晶金属酸化物ナノワイヤ表面上に熱・化学的に安定な多点分子認識空間(=分子指紋)を表面元素ドーピング技術を駆使して創製し、分子指紋の構造・化学特性に基づく分子吸着識別機能、および分子指紋と標的分子の化学的結合力に基づく分子脱離識別機能を実証すると共にその設計指針の構築に成功した。また、分子指紋ナノワイヤ・センサ統合デバイス上でこれら2つの識別機能を融合し、従来の化学センサ技術では実現困難であった混合揮発性分子群中における標的分子の電流検出・識別に成功した。
ナノ材料科学
本研究により、従来分子センサの技術限界により実現困難であった①10ppb以下の極低濃度分子の電気的検出、及び②同種官能基を有する分子群の識別を本質的に打破することに成功した。揮発性分子は自然界に数十万種類存在することから、これらを検出・識別・データ化する小型携帯センサデバイスが本研究で提案する方法論により実現すれば、従来センサによる‘物理情報’を遥かに凌駕した膨大な‘化学情報’による精緻なデータ分析が可能となり、既存のデータ科学・データ産業を革新する新たな社会基盤形成に繋がると期待される。