研究課題/領域番号 |
18H01834
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
保田 諭 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (90400639)
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研究分担者 |
矢野 雅大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 博士研究員 (30783790)
朝岡 秀人 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40370340)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グラフェン / 水素イオン同位体 / インピーダンス / スパッタリング / 欠陥 |
研究実績の概要 |
本研究では、単原子層シートであり水素イオン同位体分離能を有するグラフェンにおいて、グラフェン内の欠陥構造が水素イオン同位体分離機構に与える影響について解明する。同時に、水素イオン同位体の分離能が制御された構造規定欠陥をグラフェン内に作製する技術を確立し、高効率な水素イオン同位体離能を持つ分離膜を創製する礎を築く。 平成30年度は、グラフェンの水素イオン同位体分離能評価のための電極作製技術と、グラフェン内への欠陥構造作製技術の確立を行った。グラフェンは単原子層シートであるため、グラフェン単独で利用したりハンドリングすることは不可能である。このため、水素イオン同位体導電性高分子膜であるNafion膜上にグラフェンを転写する手法を開発し、ハンドリングが可能なNafion/グラフェン/Nafion膜電極を作製する技術を確立した。作製した膜電極の両側に電極を接続しインピーダンス測定を行うことで、水素イオン同位体の導電率の評価が可能であり、その同位体分離能を精査することが可能であることを明らかにした。 スパッタリング技術を用いてグラフェン内への欠陥構造作製を試みた。高真空下でのアルゴンスパッタリングをグラフェンに行った結果、様々な欠陥種の中で、点欠陥が優先的に形成されること、また、スパッタリングの時間やエネルギー、雰囲気ガス圧によって、その欠陥密度を制御できることを明らかにした。 以上、グラフェンをNafion膜上に転写することで、水素イオン同位体分離能評価の基礎技術を確立するのと同時に、グラフェン内への欠陥構造作製技術に関する基礎的知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成30年度において、グラフェンの水素イオン同位体分離能を評価する技術を確立できたこと、グラフェンへの欠陥構造作製とその数密度の制御が可能であることを実験的に明らかにすることができたことにより、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、得られた技術をもとに、点欠陥がグラフェンの水素イオン同位体分離能に与える影響について精査する。また、ガス分析装置を導入しより高精度の同位体分離能評価技術も確立するのと同時に、スパッタリング条件によって、点欠陥以外の様々な欠陥種やその構造、数密度を制御するための基礎的知見を取得する。
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