研究実績の概要 |
本研究では、局所的な化学・電気刺激、またそれらの複合刺激が細胞機能に与える影響を明らかにするとともに、生体様組織構築を可能にする細胞培養プラットフォームのための電気化学デバイスを開発する。また、細胞計測を同時に行えるシステムを組み込むことで、スマート細胞培養プラットフォームとして完成させる。本研究を通して、Organs on a Chipといった動物代替用細胞チップとして本プラットフォームを完成させ、薬剤評価モデルへの応用を達成する。 本年度は細胞計測に関する3報の論文(ACS Sensors, DOI: 10.1021/acssensors.9b00344, 2019, in press.: Analytical Sciences, 35(1), 39-43, 2019: Sensors and Materials, 31(1), 13-22, 2019)を報告した。これらの論文では、ハイドロゲル内で培養した幹細胞の分化・呼吸活性評価、細胞内酵素活性評価に関する報告を行った。 さらに本年度では、電解析出による培養表面の修飾法を開発した(Biofabrication, DOI: 10.1088/1758-5090/ab166e, 2019, in press.: Chemical Communications, DOI: 10.1039/C9CC01576K, 2019, in press.: Lab on a Chip, 18, 2425-2432, 2018.: Sensors and Actuators B: Chemical, 277, 95-101, 2018.)。これにより、多点電極デバイス上でデザインした3次元ハイドロゲルの作製が可能になった。また、平面電極ではなく、3次元的な電極アレイを用いることで、ハイドロゲルプリンタとしての応用を示した。このように本年度は様々な細胞培養プラットフォームを開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は8報の学術論文を報告しており、このことから順調に研究が進んでいるといえる。細胞刺激に関する報告は論文準備中であるが、細胞形態変化が観察されており、当初の予定通り研究が進んでいる。また、3つの雑誌で本成果はcoverに選ばれており(Electroanalysis, 30, (2018), 2195-2209. Selected as a cover feature.:Sensors and Materials, 31(1), (2019), 13-22. Selected as a cover.:Chemical Communications, DOI: 10.1039/C9CC01576K. 2019, in press. Selected as a back cover)、このことからも評価が高い研究が行われたと考えられる。特に細胞計測に関しては、上述したような申請書で記載した以上の研究成果が出ている。以上のことから、当初の計画以上に進呈しているといえる。
|