研究課題
本申請課題では,従来のナノポアなど電気的検出法による次世代DNAシーケンシング技術より高い信頼性を有する新規な技術として,分子識別能力に優れた表面増強ラマン分光(SERS:Surface Enhanced Raman Spectroscopy)によるDNAシーケンシングを提案し,その基盤技術の確立を目的とした。申請者の有する金ナノ粒子二量体構造の巨大電磁場増強を用いた1分子感度SERS分析技術を基に,(1) DNA断片における1塩基検出感度実現するとともに,(2) 巨大電磁場増強場におけるDNA断片の挙動を理解し,マニピュレーション技術の確立を行った。以上の基盤技術を基に,(3) メチル化など異常修飾を含めた塩基配列を識別可能なDNAシーケンシング実現可能性を検証した。項目(1)および(2)について研究を推進するとともに,(3)SERSによるDNAシーケンシングの実現可能性を明らかにするため,以下を実施した。(1)DNA断片における1塩基検出感度検証として,単一金ナノ粒子二量体を用いてメチル化を含めた様々な塩基・配列のDNAオリゴマーのSERS計測を行った。これまでに構築した最適作製条件,分析方法を適用し,DNAオリゴマー内に1つのみ1種類の塩基が含まれる配列にてSERS計測を行った。これにより,1分子感度の検出・同定が可能かを明らかにした。(2)巨大電磁場増強場におけるDNA断片挙動の理解とマニピュレーション技術の確立として,作製した金ナノ粒子二量体ナノギャップ電極のギャップ制御および電気的なDNA分子挙動計測を行った。1分子計測が可能であり,電磁場増強場に誘導させることが明らかとなった。(3)SERSによるDNAシーケンシングの実現可能性検証として,メチル化されたアデニン塩基の検出可否を調べ,特定のラマンシフトにおける強度比から識別できることを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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