研究課題
創薬分野では非臨床試験において、実験動物を使ったin vivo試験や培養細胞を用いたin vitro試験が実施されているが、ヒトと実験動物の種差やin vivoとin vitroの乖離に起因する医薬品開発コストの増加が社会的問題となっている。そこで本研究では、この乖離を補完するための高次in vitro試験系として、マイクロ流体デバイス技術を活用した機能統合型Organs-on-a-chipの構築を目指した。具体的には、医療・創薬分野への応用を見据えつつ、生物学的に新しい知見を得るための高次in vitro系として、①ADME(吸収・分布・代謝・排泄)機能集積化、②生理学的パラメータ再現、③マイクロ電気化学センサ集積化 を実現する機能統合型Organs-on-a-chipを構築した。2022年度には、マルチウェルプレート型のOrgans-on-a-chipを技術基盤として、多種多様な臓器由来細胞を培養し、臓器モデルとしての機能を評価した。具体的には、肝臓、小腸、心臓、免疫系、がん組織のモデルとして、初代培養細胞、ヒトiPS細胞由来細胞、株化細胞を培養することで単培養・共培養系を確立した。これらの臓器モデルを用いて薬効毒性試験を実施した結果から、①臓器間の相互作用効果、②灌流培養効果、③薬効毒性の変化等が観察され、Organs-on-a-chipのin vitro試験系として有用性を示した。また、機能統合に向けた各要素の改良検討については、可視化実験や有限要素法によるシミュレーションによってデバイス集積型ポンプの駆動機序の一端を明らかにすると共に、電気化学式グルコースセンサについては、研究分担者の小森と共同でデバイス集積化可能なグルコースセンサおよびヒスタミンセンサを開発し、それらを組み込んだOrgans-on-a-chipを構築し、細胞動態のin situ計測を実現した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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