研究実績の概要 |
印刷法で作製された有機トランジスタのノイズを低減するための方法として、素子寸法による制御とチャネル層への高分子ブレンドの2つを検討した。素子寸法については、チャネル長Lの増加とチャネル幅Wの増加はいずれもゲート入力電圧換算ノイズを低減する効果を持ち、L=10um, W=700umの素子に対して、L=100um, W=3500umの素子のノイズは約5分の1であった。一方、チャネル層として低分子有機半導体のみの溶液を塗布した場合と比べて、チャネル層として低分子半導体:高分子絶縁体混合溶液を塗布した場合のノイズは約50分の1であった。両方の手法を合わせることにより、2桁半程度のノイズの改善が見られた。これは、近接センサや脈波センサと組み合わせて利用するには十分なノイズ性能であるが、脳波センサと組み合わせて利用するにはさらに1桁程度の向上が必要である。 また、より低ノイズで高性能な印刷型有機トランジスタを作製するため、成膜条件を自動で最適化するシステムの構築を試みた。そのため、自動で成膜を行う装置、自動で測定を行う装置、および効率的に条件探索を行うベイズ最適化プログラムをそれぞれ開発した。これらを統合することで、効率的に有機トランジスタの性能向上が行えると期待される。
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