研究課題/領域番号 |
18H01857
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
黒田 眞司 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40221949)
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研究分担者 |
木村 昭夫 広島大学, 理学研究科, 教授 (00272534)
秋山 了太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40633962)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | トポロジカル結晶絶縁体 / トポロジカル表面状態 / 鏡映対称性 / ディラック・コーン / 界面誘起磁化 |
研究実績の概要 |
本研究は、トポロジカル結晶絶縁体(TCI)であるSnTeにおいて外場の印加による対称性の破れがトポロジカル表面状態にどのような影響を及ぼすかを明らかにし、外場によるトポロジカル表面状態の制御に基づくデバイス機能実現の可能性を探索することを目的としている。実験では、SnTeおよび混晶の(Pb,Sn)Teの薄膜を分子線エピタキシー(MBE)により作製し、格子歪、電場、磁場などの外場の印加下でのトポロジカル表面状態を調べている。今年度は以下の研究を行った。 (1) 強磁性体との接合界面における磁化発現 SnTe上にFeを積層したヘテロ構造を作製し、トポロジカル表面状態に誘起される界面磁化を偏極中性子反射率(PNR)測定により調べた。界面に平行な向きに印加した磁場と平行・反平行方向のスピンの持つ中性子に対する反射率スペクトルの違いより、面内方向の磁化のプロファイルを解析した。その結果、ヘテロ界面からSnTe層内部に3-5A程度の深さに至るまで磁化が誘起されていることが明らかとなった。これはトポロジカル表面状態におけるディラック電子が、Fe層の局在磁気モーメントを介した相互作用の結果であると考えられる。 (2) Sbドープ(Pb,Sn)Te薄膜の表面状態 (Pb,Sn)Teにドナー性不純物としてSbをドープした薄膜に対して、角度分解光電子分光(ARPES)測定を行い、その表面状態を調べた。その結果、Pb/Sn組成比ならびにSbドーピング濃度の変化に伴い、表面のディラック・コーンがどのように変化するかを調べ、格子歪との関係について考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SnTe/Feの接合構造において界面における磁化の誘起を検出し、また(Pb,Sn)Te:Sb薄膜の表面状態の変化を明らかにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、SnTeまたは(Pb,Sn)Teに外場の摂動を加える試料構造を作製し、外場の摂動が表面状態に及ぼす影響を調べる。
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