研究課題
Internet of Things技術による社会基盤の高度化と共に、各種物理センサ向けの微小信号検出技術が重要になっている。本研究は、有機トランジスタの低周波ノイズ解析により、そのノイズ発生の物理要因を明らかにし、高感度センサ実現に資する低ノイズ・フレキシブル信号増幅回路を実現する事を目的としている。本研究の最終年度となる2020年度は、微小信号検出回路に有用な低ノイズトランジスタ構成を絞り込み、pseudo-COMS回路構成を用いた信号増幅回路を実現した。低ノイズ有機トランジスタとしては、2018年、2019年のこれまでの材料比較評価の結果を考慮し、半導体材料を絞り込んで開発を進めた。加えて、ノイズ密度がゲート電圧依存性を示すという取組み成果を鑑み、高いキャリア密度が実現可能なゲート絶縁膜構成を採用し、デバイス構造の工夫を加えた低ノイズ・有機トランジスタを構成した。微小信号計測回路の実現において基本となる回路構成にはpseudo-CMOS inverter回路を採用した。この回路構成では、トランジスタのゲート電極に信号入力される構成となり、微小信号計測において高い入力インピーダンスを実現できるため、微小信号計測に適している。また、初段のinverter回路では電流を小さく絞ることが可能であり、この点でも回路内部ノイズを低減させるために有効である。このinverter回路に加え、フィードバック抵抗、入力キャパシタについてもフレキシブル回路を作製、実装し、低ノイズ・フレキシブル信号増幅回路を実現した。この結果、入力信号として1μVの入力信号を検出(増幅)可能な回路を実現した。回路の内部ノイズはnVレベルの領域にあり、フレキシブル有機信号増幅回路としては最も低ノイズであり、nVレベルの微小信号検出が可能な技術を確立した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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