本研究では、エピタキシー技術によるルテニウム酸化物超伝導体の実現と薄膜・接合を利用した超伝導状態の解明を目的とした。転移温度が1.2Kを超えるSr2RuO4超伝導薄膜の作製に成功し、上部臨界磁場を精密に測定することで、二次元状態においてとりうる超伝導対称性を議論した。また、Sr2RuO4同士のジョセフソン接合作製に成功し、ジョセフソン臨界電流の磁場依存性が時間反転対称性を保った振動パターンとなることを明らかにした。さらに、分子線エピタキシー成長によって高品質なRuO2単結晶薄膜を様々な基板上に作製し、基板からのエピタキシャル歪みを制御することで、Tc = 1.7 Kの超伝導の発現に成功した。
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